セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-術後合併症 1

タイトル 外P-598:

自動縫合器を用いた尾側膵切除の工夫と課題

演者 大島 奈々(東京女子医大・消化器病センター)
共同演者 羽鳥 隆(東京女子医大・消化器病センター), 鈴木 修司(東京女子医大・消化器病センター), 君島 映(東京女子医大・消化器病センター), 鈴木 隆二(東京女子医大・消化器病センター), 出雲 渉(東京女子医大・消化器病センター), 山本 雅一(東京女子医大・消化器病センター)
抄録 【目的】尾側膵切除(DP)後の膵液瘻(POPF)の検討から,膵頭部での切離を除くとメスと自動縫合器でPOPFの頻度に差がないため,手技が容易な自動縫合器による膵切離を積極的に導入してきた.そこで,自動縫合器を用いたDPの治療成績を明らかにする目的で検討した.【方法】2009~2013年のDP 120例の内,自動縫合器(echelon 60)で切離した91例を対象とした.疾患の内訳は浸潤性膵管癌32例,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)15例,膵粘液性嚢胞腫瘍(MCN)14例,膵神経内分泌腫瘍(pNET)13例,Solid-pseudopapillary neoplasm(SPN) 7例,膵漿液性嚢胞腫瘍(SCN)3例,その他7例で,術式はDP 75例,脾温存DP(SPDP)16例であった. 全例,膵切離部はnormal soft pancreasで全体のPOPFは9%であった.膵切離部位,膵の厚さ,カートリッジの種類とPOPFの関連について検討した.なお,自動縫合器は5-10分かけてゆっくり圧挫し,fire後2分間してからreleaseしている.【成績】1)膵切離部位:門脈(PV)右縁より十二指腸側が25例,PV直上より尾側が66例で,POPFは各,12%,7.6%であった.2)膵の厚さ:20mm超が8例,16-20mmが25例,11-15mmが50例,10mm以下が12例で,POPFは各,25%,8%,8%,8%であった. 膵の切離部位と厚さの関係をみると,PV右縁より十二指腸側で平均13.2mm,PV直上より尾側で平均14.7mmで差はなかった.3)カートリッジ:Green(圧縮時の厚み2.0mm)50例,Gold (1.8mm)18例,Blue(1.5mm)15例,White(1.0mm)8例で,カートリッジと膵の厚さおよびPOPFの関係をみると,Greenでは平均14.9mm(10-27),Goldが16.2mm(13-20),Blueが12.7mm(9-16),Whiteが8.8mm(6-15)で,POPFは各,12%,0%,13%,0%であった.【結論】自動縫合器を用いたDPにおいては,膵の厚さに応じたカートリッジを選択することでPOPFの発生を軽減させる可能性があったが, 十二指腸乳頭からの膵液の流出障害や膵の軟らかさの程度なども考慮したPOPFを軽減させるためのさらなる工夫が必要である.
索引用語 尾側膵切除, 膵液瘻