セッション情報 | ポスターセッション(消化器外科学会)膵臓-術後合併症 1 |
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タイトル | 外P-599:膵断端平行縫合による膵断端閉鎖 |
演者 | 近本 亮(熊本大大学院・消化器外科学) |
共同演者 | 橋本 大輔(熊本大大学院・消化器外科学), 生田 義明(熊本大大学院・消化器外科学), 蔵元 一崇(熊本大大学院・消化器外科学), 新田 英利(熊本大大学院・消化器外科学), 今井 克憲(熊本大大学院・消化器外科学), 林 洋光(熊本大大学院・消化器外科学), 石河 隆敏(熊本大大学院・消化器外科学), 別府 透(熊本大大学院・消化器外科学), 馬場 秀夫(熊本大大学院・消化器外科学) |
抄録 | 【背景と目的】膵体尾部切除後の膵液瘻は現在においても未だ解決されていない重大な合併症である.術後膵液瘻(PF)の発生,重症化を抑えるため,当科で導入した開腹膵体尾部切除における膵断端平行縫合法を提示する.【術式】術前診断に応じて膵体尾部切除を行う.尾側膵は1号絹糸で結紮閉鎖し,膵切離時の膵液の漏出を防止する.膵断端からの出血は5-0プロリンで縫合止血する.十二指腸側膵断端の主膵管は確実に結紮あるいは刺通結紮を行い閉鎖する.膵断端は2-0プロリンを用いて断端から3-5mmの位置で膵切離面と平行に3針,結紮を行い閉鎖する.断端にはドレーンを1本留置する.ドレーンは全身の炎症所見が軽減していれば,原則として術後4日目までに抜去する.【検討方法】ドレーン排液のアミラーゼ値を連日測定し,膵液瘻の有無,程度を検討する.膵液瘻の定義はISGPFに準拠した.【結果】2012年4月から2013年1月までの連続した13例に本法を行った.術式は体尾部切除11例(腹腔動脈合併切除1例を含む),膵中央切除1例で,術前診断は通常型膵管癌5例,転移性膵腫瘍3例,IPMN2例,膵内分泌腫瘍2例,慢性膵炎1例であった.術後3日目の膵液瘻はGrade A 9例,なし3例で,4日目にはGrade A 4例,なし5例,ドレーン抜去済み4例であった.13例中3例の膵切離位置は門脈右側で,1例がGrade Aで2例は膵液瘻を認めなかった.全例で晩期の膵液瘻発生は認めなかった.【考察】本法は太い糸を用いて,少ない本数で閉鎖するため,膵被膜損傷が最小限に抑えられていることが奏功している可能性が考えられる.また,膵断端を縫縮せず縫合結紮するのみであるため,膵断端部の距離が小さい門脈右側切離の症例であっても適応しやすいと考えられる.【まとめ】少数例の経験ではあるが,本法を用いることで,Grade B以上の膵液瘻の発生がなかった.膵切離面が広く,膵液瘻発生のリスクが高い門脈右側での切離例でも良好な結果が得られた. |
索引用語 | 膵液瘻, 予防 |