セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-術後合併症 2

タイトル 外P-601:

Clavien-Dindo分類による膵頭部癌膵頭十二指腸切除術後の合併症評価

演者 山本 直人(横浜市立大・外科治療学DELIMITER神奈川県立がんセンター・消化器外科)
共同演者 森永 聡一郎(神奈川県立がんセンター・消化器外科), 沼田 幸司(神奈川県立がんセンター・消化器外科), 五代 天偉(神奈川県立がんセンター・消化器外科), 佐藤 勉(神奈川県立がんセンター・消化器外科), 湯川 寛夫(横浜市立大・外科治療学), 利野 靖(横浜市立大・外科治療学), 赤池 信(神奈川県立がんセンター・消化器外科), 益田 宗孝(横浜市立大・外科治療学)
抄録 【背景】Clavien-Dindo(CD)分類は,治療介入程度で術後合併症を重症度分類する新しい評価基準である.【目的】膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除術(PD)症例におけるCD分類による術後合併症評価・記録の有用性を明らかとする.【対象と方法】2007年1月から2012年4月末までに当院・肝胆膵外科でPD/SSPPD行われた浸潤性膵管癌R0/1切除75例についてのretrospectiveな検討.術後合併症をCD分類で再評価し,臨床病理学的因子との検討を行った.【結果】対象75例ついて病期はUICC-pTNMに準じStage 0/IA/IB/IIA/IIB/III/IV=0/4/0/14/44/2/11.局所癌遺残度はR0/R1=51例/24例.CD分類による合併症最悪Gradeは0&I/II/IIIa/IIIb/IV/V=46/16/9/1/2/1(Grade II以上29例(38.7%),Grade III以上13例(17.3%))であった.膵液瘻についてはISGPF Grade 0/A/B/C=58/7/7/3であった.CD IIIa以上の合併症の内容は膵液瘻,腹腔内膿瘍,腹膜炎,術後出血,循環不全などであった.術後在院期間は合併症発生例(Grade II以上)で非発生例に対して有意な延長が認められた(36日:21日(中央値), p<0.001).さらに術後在院期間はCD分類のGrade順に従って線形に延長していた(Cochran-Armitage検定:p=0.049).年齢,性別,腫瘍因子,出血量,門脈合併切除の有無などの因子と合併症発生(grade II以上またはIII以上)とには有意な関連は認められなかったが,ロジスティック解析では“手術時間10時間以上“がGrade II以上の合併症発生の危険因子として選択された(オッズ比3.160, 95%CI; 1.120-8.900, p=0.029).合併症の有無,程度によって術後無再発生存期間,全生存期間などの予後との有意な関係は認められなかった.【結語】膵癌に対するPD実施症例においてCD分類は術後在院期間をよく反映し,合併症評価・記録法として有用である.
索引用語 膵癌, 術後合併症