セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-化学療法・集学的治療 1

タイトル 外P-610:

2次治療を見据えた腹膜播種陽性胃癌に対するタキサン腹腔内投与

演者 廣野 靖夫(福井大・1外科)
共同演者 藤本 大裕(福井大・1外科), 澤井 利次(福井大・1外科), 森川 充洋(福井大・1外科), 小練 研司(福井大・1外科), 村上 真(福井大・1外科), 五井 孝憲(福井大・1外科), 飯田 敦(福井大・1外科), 片山 寛次(福井大附属病院・がん診療推進センター), 山口 明夫(福井大・1外科)
抄録 【目的】胃癌腹膜播種に対する標準治療を確立するために現在PHOENIX試験が進行中である.この試験において後治療についての規定はなく,様々な治療が行われているが,保険適応の関係から腹腔内化学療法(IP)を2次治療以降に行われていることはまだ少ないと思われる.我々は2002年からタキサンIPを行ってきたので,1次治療,2次治療としてのタキサンIPについて検討した.【方法】対象は解析可能なタキサンIPを施行した腹膜播種陽性胃癌29例(P2 1例,P3 25例,再発3例).パクリタキセルIP (PTX IP) based レジメンを先行した13例(PTX群)とドセタキセルIP (DOC IP) basedレジメンを先行した16例(DOC群).PTX群の中にはPHOENIX試験のレジメン施行例6例(PTXiv+ip群)も含まれた.改善効果を認めた症例中心に原発巣を含めた切除を12例に施行した.タキサンIPは臨床研究として学内審査を受け,文書によるICのもと施行している.【結果】PTX群の1年生存率は46%,DOC群は63%.しかしPTXiv+ip群に限ると83%と良好であった.切除例と非切除例に有意な予後の差はないが,非切除例には2年以上の生存無し.今回のPTXiv+ip群には切除例がなかったが,他のPTX群やDOC群の非切除例より予後良好で,安定した予後改善の効果が期待された.1年以上生存した症例に限定して検討すると,PTXiv+ip群では1次治療としてのPTX投与期間は平均363日で,2次治療としてDOCipを含めた治療が全例に施行され,平均期間183日で,生存期間の更なる延長に貢献していたと思われた.PTX群に広げても同様の結果であった.DOC群は2次治療で5例にしかPTXipを含めた治療が行われておらず,その期間も2次以降が極端に長い症例と短い症例があり,一定の傾向は認めなかった.【結語】PTX IP後,特にPHOENIX試験のレジメン後のDOC IPは2次治療として有用となりうる可能性がある.今後多施設共同臨床試験を行い評価すべきと思われる.
索引用語 胃癌腹膜播種, 腹腔内化学療法