セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-化学療法・集学的治療 2

タイトル 外P-613:

S-1+CDDPによる切除可能進行胃癌に対する術前化学療法の検討

演者 井上 昌也(常滑市民病院・外科DELIMITER市立半田病院・外科)
共同演者 岡田 禎人(市立半田病院・外科), 林 英司(市立半田病院・外科), 太平 周作(市立半田病院・外科), 前田 隆雄(市立半田病院・外科), 堀尾 建太(市立半田病院・外科), 景山 大輔(市立半田病院・外科), 岸本 拓磨(市立半田病院・外科), 久保田 仁(市立半田病院・外科)
抄録 【はじめに】一般的に予後不良とされる根治切除可能進行胃癌に対する術前化学療法は,臨床試験を中心に行われつつあるが,明確なエビデンスはない.今回我々は,十分なinformed consentの下に施行した術前化学療法の安全性と有効性につき検討したので報告する.【対象】2010年から2013年に当院で施行した高度進行胃癌患者14例を対象とした.S-1+CDDP併用療法による術前化学療法を2コース施行し,根治手術を行った.適応は,大型3型・4型,BulkyN2またはN3症例とし,全例1コース終了時点で造影CT,上部消化管内視鏡検査による化学療法の効果判定を行い,PD以外は化学療法を継続した.【結果】年齢は中央値69歳,男性11例,女性3例であった.大型3型:9例,4型:1例,BulkyN2:4例であった.14例中12例で2コースの術前化学療法を施行した.1例はGrade3の嘔吐を認め,患者希望により1コースを終了した時点で手術となった.1例は,Grade4の感染性腸炎を発症し,患者希望により手術を含む治療が中止となった.12例は全例SD以上の奏効を認めた.12例で根治切除術が施行され,幽門側胃切除4例,胃全摘8例であった.手術時間,出血量は,それぞれ中央値で幽門側胃切除291分,312.5ml,胃全摘309分,773.5mlであった.組織学的にGradeIb以上の効果を認めた症例は7例(58%)であった.4例にGradeIIIaの膵液漏を認めたが保存的に軽快した.術後在院日数は,中央値16日であった.【結語】進行胃癌に対する術前化学療法は,有効であることが示唆された.1例で重篤な副作用を認めたため,慎重な術前管理と十分なinformed consentが必要であると考えられた.術前化学療法後の根治切除は,在院期間,合併症ともに許容範囲内であると考えられた.進行胃癌に対する周術期化学療法は,手術治療との組み合わせで予後の改善が期待できる治療法であると考えられ,より奏効率の高い化学療法による更なる症例の蓄積と大規模な臨床試験の検証が必要である.
索引用語 進行胃癌, 術前化学療法