セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-化学療法・集学的治療 2

タイトル 外P-614:

S-1+CDDP療法が著効し根治切除可能となったStage4胃癌の2例

演者 能登 正浩(公立松任石川中央病院・外科)
共同演者 蒲田 亮介(公立松任石川中央病院・外科), 廣瀬 淳史(公立松任石川中央病院・外科), 石井 要(公立松任石川中央病院・外科), 竹田 利弥(公立松任石川中央病院・外科), 谷 卓(公立松任石川中央病院・外科), 八木 雅夫(公立松任石川中央病院・外科)
抄録 (症例1)75歳,女性.全身倦怠感・心窩部不快感を主訴にして来院.前庭部の巨大な3型胃癌であり,術前のPET-CTで原発巣と傍大動脈~左鎖骨下リンパ節に転移を疑うFDG集積を認めた.根治切除は困難と判断しS-1+CDDP療法(S1:80mg/m2, day 1- 21, CDDP:60mg/m2, day 8)を3クール施行した.効果判定目的に施行したPET-CTにて原発巣およびリンパ節へのFDG異常集積はすべて消失していたため,幽門側胃切除術(D2郭清)を施行した.術後病理診断では粘膜下層の一部に異型腺管を認めたがその他に癌細胞は認められず,また摘出したリンパ節は線維化・瘢痕化のみで転移を認めなかった.術後補助化学療法を希望されなかったため無治療で経過観察中であるが,術後3年経過し無再発生存中である.
(症例2)74歳,男性.心窩部痛を主訴にして来院.幽門前庭部の全周性3型胃癌であり,術前のPET-CTで原発巣と総肝動脈~傍大動脈リンパ節に転移を疑うFDG集積を認めた.また左腹部の大網と思われる部位に淡いFDG集積を認めており,腹膜播種が疑われた.S-1+CDDP療法(同上)を2クール施行したところ,PET-CTにて原発巣とリンパ節へのFDG集積は半減し,左腹部のFDG集積は消失したため,幽門側胃切除術(D2郭清)を施行した.術後病理診断では原発巣に潰瘍瘢痕を認めたが癌細胞は確認できず,また摘出した20個のリンパ節のうち3個にのみ腺癌の転移を認めた.術後補助化学療法としてS1療法(80mg/m2, day 1-14)を2クール施行したが,食欲不振などの副作用のため中止し経過観察となった.術後1年経過しているが無再発生存中である.
いずれも根治切除が困難なStage4胃癌であったが,術前化学療法が極めて有効であり根治切除が可能となった2例を経験したので報告した.
索引用語 術前化学療法, Stage4胃癌