セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-化学療法・集学的治療 2

タイトル 外P-615:

進行胃癌に対する根治を目指したConversion therapy

演者 佐伯 浩司(九州大・消化器総合外科)
共同演者 沖 英次(九州大・消化器総合外科), 大津 甫(九州大・消化器総合外科), 河野 浩幸(九州大・消化器総合外科), 安藤 幸滋(九州大・消化器総合外科), 井田 智(九州大・消化器総合外科), 木村 和恵(九州大・消化器総合外科), 森田 勝(九州大・消化器総合外科), 楠本 哲也(九州大・消化器総合外科), 前原 喜彦(九州大・消化器総合外科)
抄録 【はじめに】全身化学療法が進歩し,切除不能進行胃癌におけるconversion therapyという概念が確立されつつある.初診時に根治切除不能と判断し,化学療法後に根治術を施行しえた切除不能進行胃癌の治療経過を検討した.【対象と方法】2011年4月から2012年9月までに全身化学療法後に根治切除を施行した進行胃癌8例(男性4例,女性4例,平均63歳)を対象とした.化学療法の内容や根治切除の時期,術式・術後合併症,病変の組織学的腫瘍壊死効果につき検討した.【結果】1)初診時の非切除因子は腹膜播種6例,肝転移1例,腹水洗浄細胞診陽性1例だった.画像にて確診が得られなかった5例では化学療法開始前に審査腹腔鏡を行い診断した.2)導入化学療法としてS-1/CDDP療法4例,S-1+Docetaxel療法2例,XP療法2例(このうちHER2陽性の1例にはtrastuzmab+XP療法を導入した).化学療法は計2~5コース(平均3コース)施行し,根治術を行った.3)術式は腹腔鏡下胃全摘6例(うち1例は開腹術に移行),腹腔鏡下幽門側胃切除1例,開腹胃全摘+肝切除1例を行った.いずれも合併症なく,術後平均11日で退院した.全例に術後補助療法を行っている.観察期間は最短2か月から最長22か月でありいずれも無再発生存中である.4)原発巣における組織学的腫瘍壊死効果は,Grade 1a/1b: 4例,Grade 2: 4例であった. 【まとめ】Conversion therapyを行った8例はいずれも化学療法開始後比較的早期に腫瘍縮小効果が得られた.しかし化学療法での組織学的完全壊死はみられていない.化学療法後でも安全かつ十分な手術が可能であり,進行胃癌の治療成績向上にはR0切除が可能となった時点で速やかに根治切除を行うことが重要であろうと考えられる.
索引用語 進行胃癌, conversion therapy