セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-化学療法・集学的治療 2

タイトル 外P-616:

分子標的治療薬の投与により長期生存を得た再発GISTの一例

演者 鍋島 一仁(東海大・消化器外科)
共同演者 山崎 康(東海大・消化器外科), 原 仁司(東海大・消化器外科), 中村 健司(東海大・消化器外科), 山崎 正志(東海大・消化器外科), 森田 真理(東海大・消化器外科), 近藤 泰理(東海大・消化器外科), 中郡 聡夫(東海大・消化器外科), 小澤 壯治(東海大・消化器外科), 貞廣 荘太郎(東海大・消化器外科), 安田 聖栄(東海大・消化器外科)
抄録 症例は40歳台男性 2002年8月会社健診にて胃粘膜下腫瘍指摘.2003年4月増大傾向認め当院受診.2003年6月下旬,胃粘膜下腫瘍の診断にて胃部分切除術施行. 病理組織学的検査結果はc-kit +, CD34 +より Gastrointestinal stromal tumor (GIST),大きさは40mm大でMitosis 150/50 HPFより高リスクGISTと診断された.術後,約3年後の2006年3月に肝転移を認め同年9月中旬よりイマチニブ開始した. 2009年5月上旬,肝転移はPDとなった.イマチニブ600mg/dayに増量したが,肝転移は増大傾向を示した.2010年10月下旬よりスニチニブ50mg/day(4週投与,2週休薬)を開始した.スニチニブによる副作用として高血圧Grade2,手足症候群Grade2-3,血小板減少症Grade2を認めた為,2010年12月スニチニブ2週投与2週休薬に変更し投与継続した.2011年7月上旬,心不全Grade3を認め利尿剤等の治療を要した為,スニチニブを中止し経過観察とした. 2011年9月下旬,イマチニブ400mg/day を再開した.2012年2月,腹痛にて来院.CT上,腫瘍増大を認めイマチニブ耐性を再確認.2012年2月心機能の低下を認めていたためスニチニブを25mg/dayに減量し再開した.スニチニブ投与によりCT上,腫瘍内部は液状化し症状は改善した.病勢はコントロールされ約1年治療を継続可能であった.2013年2月中旬,貧血,呼吸困難認め緊急入院となった.スニチニブ継続困難となり,緩和治療を行い2013年3月永眠された.腫瘍発見後10年7カ月,術後9年9カ月,再発後7年の長期経過であった.高リスク胃GISTの術後再発例に対し,分子標的治療薬の継続により長期生存を得られた一例を経験した.GISTに対する分子標的治療薬はイマチニブとスニチニブが承認されている.副作用のマネジメントに注意が必要だが休薬や減量を行い継続する事により長期生存が可能であった.今後,更なる薬剤の開発と早期承認が待たれる.
索引用語 GIST, 分子標的治療薬