セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-術後合併症

タイトル 外P-623:

当科における腹腔鏡下胃全摘術における,食道空腸機能的吻合再建の検討

演者 木下 浩一(日本バプテスト病院)
共同演者 多田 正晴(日本バプテスト病院), 小林 克敏(日本バプテスト病院)
抄録 当科にて行われた腹腔鏡下胃全摘術,3例の胃空腸機能的吻合再建後の経過について検討した.症例1は60歳台,女性,身長156センチ,BMI:22.6.胃体上部の早期胃癌に対して上記手術を行った.胃食道接合部口側にてエンドGIA45mmを用いて食道を先行切離後,エンドGIA60mmを用いて大弯側で結腸前拳上空腸と側々吻合後,拡張した共通孔をエンドGIA60mm2回使用にて閉鎖した.症例2は70歳台,女性,身長150センチ,BMI:32.4.胃体上部の早期癌.食道を先行切離せずに,胃食道接合部口側大弯において,エンドGIA60mmを用いて側々吻合後,共通孔と食道をエンドGIA60mmを1回使用して閉鎖できた.症例3は60歳台,男性,身長158センチ,BMI:20.4.胃体上部の進行癌.症例2と同様に食道を先行切離せずに,胃食道接合部口側大弯において,エンドGIA60mmを用いて側々吻合後,共通孔と食道をエンドGIA60mm2回使用にて閉鎖した.3例ともに術後縫合不全等を認めず,経口摂取は順調に開始された.しかしながら,症例2において術後2ヶ月頃より,食道空腸吻合部での食物の通過障害が出現した.ガストログラフィン上部消化管透視では,造影剤の滞留と食道の拡張を認めた.上部内視鏡検査では吻合部位での狭窄や捻じれは認めなかったが,食道と空腸の長軸が数十度ずれた像が観察された.内視鏡は容易に通過したが,食物通過障害の原因と推測された.明らかな狭窄を認めないため保存的に経過を見ているが,場合により拡張術なども考慮すべきかと考えられた.このような軸のずれに関する明らかな原因は不明であるが,閉鎖する共通孔の大きさ,大弯側での吻合後の空腸の癒着,食道周囲の横隔膜脚と吻合部位の位置関係,BMI高値が示す腹腔内脂肪による拳上空腸への影響,食事時の体位等に何らかの関連があるのではないかと考えられたが,詳細は不明である.
索引用語 腹腔鏡下胃全摘術, 胃空腸機能的吻合