セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-術後合併症

タイトル 外P-625:

腹腔鏡補助下胃切除術,Roux-en Y再建後に生じたPetersen’s herniaについての検討

演者 諸原 浩二(伊勢崎市民病院・外科)
共同演者 大澤 秀信(伊勢崎市民病院・外科), 木村 慎太郎(伊勢崎市民病院・外科), 岡田 朗子(伊勢崎市民病院・外科), 酒井 真(伊勢崎市民病院・外科), 斎藤 加奈(伊勢崎市民病院・外科), 和田 渉(伊勢崎市民病院・外科), 保田 尚邦(伊勢崎市民病院・外科)
抄録 【はじめに】腹腔鏡手術は開腹手術と比較し,癒着が発生しにくいため,内ヘルニアが生じやすいとされている.腹腔鏡補助下胃切除術,Roux-en Y再建の普及に伴い,挙上空腸と横行結腸間膜に生じる間隙(Petersen’s defect)による内ヘルニアであるPetersen’s herniaの報告が散見されるようになってきた.当院における腹腔鏡補助下胃切除術,Roux-en Y再建後に生じたPetersen’s herniaについて解析を行い,現在行っている予防策を含め報告する.【対象】2007年5月から2013年3月までの期間に施行した腹腔鏡補助下胃切除術,Roux-en Y再建症例214例を対象とした.術式は,腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(LADG)が148例,腹腔鏡補助下胃全摘術(LATG)が64例,腹腔鏡補助下残胃全摘術(LARG)が2例であった.【結果】214例中,Petersen’s herniaは10例(4.7%)に発症した.初回手術後から発症までの期間は,平均2年であった.7例(70%)が腹痛を主訴に発症し,3例(30%)が他の手術で偶然発見された.術式はLADGが7例(70%),LATGが3例(30%)であった.Roux-en Y再建の経路は,全症例が結腸前再建で,Y脚の作製は挙上空腸の右側で行っていた.全症例でPetersen’s defectの右から左の方向に小腸が陥入し,5例(50%)においてほぼ全小腸が陥入していた.腸管虚血を呈していたのは1例(10%)のみで,全症例で腸管切除を行わなかった.1例(10%)で腸管虚血に伴う敗血症,DICを併発し,術後25日目に死亡した.2012年3月からPetersen’s defectの縫合閉鎖を行っており,Y脚作製を挙上空腸の左側で行っている.現時点ではPetersen’s herniaの発症は認めていない.【結語】当院における腹腔鏡補助下胃切除術,Roux-en Y再建後に生じたPetersen’s herniaについて報告した.Petersen’s defectの縫合閉鎖とY脚作製の位置変更により,発症の予防に努めているが,まだ観察期間が短いため,今後も厳重に経過観察していく予定である.
索引用語 Petersen's hernia, 内ヘルニア