セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-再発・転移

タイトル 外P-629:

胃癌皮膚転移症例の検討

演者 遠藤 俊治(東大阪市立総合病院・消化器外科)
共同演者 山田 晃正(東大阪市立総合病院・消化器外科), 奥山 正樹(東大阪市立総合病院・消化器外科), 小西 健(東大阪市立総合病院・消化器外科), 菅生 貴仁(東大阪市立総合病院・消化器外科), 長岡 慧(東大阪市立総合病院・消化器外科), 武田 昂樹(東大阪市立総合病院・消化器外科), 山内 周(東大阪市立総合病院・病理診断科), 千原 剛(東大阪市立総合病院・病理診断科), 西川 和宏(大阪府立急性期・総合医療センター・外科), 西嶌 準一(東大阪市立総合病院・消化器外科)
抄録 【目的】胃癌の転移再発形式は,腹部大動脈周囲などのリンパ節転移や肝転移,腹膜播種転移が一般的である.皮膚転移は比較的まれであり,その臨床像はあきらかではない.当院で経験した胃癌皮膚転移症例について検討した.【方法】1998年から2012年までの間,当院で皮膚腫瘍に対し生検を行った症例のうち,5例が病理組織学的に胃癌の皮膚転移と診断された.この5例について臨床像を遡及的に調査した.【成績】年齢は中央値59(44-84)歳で,性別は男性2例,女性3例であった.皮膚転移の部位は,頭部1例,胸部1例,腹部3例(臍2,創1)で,いずれも単発であった.組織型は低分化腺癌4,中分化管状腺癌1であった.異時性3例,同時性2例であった.異時性の3例はいずれも胃切除術が行われ,ステージ(胃癌取扱い規約14版)はIIA,IIA,IIIBであった.皮膚転移出現までの期間はそれぞれ72,90,12か月であった.皮膚転移出現時に他臓器転移を認めなかった.2例で皮膚転移の切除が行われ,1例はS-1+CDDPによる化学療法のみを施行.予後はステージIIAの2例は皮膚転移後32,77か月担癌生存中,ステージIIIBの症例は皮膚転移後50か月で死亡.同時性の2例は,1例が診断時に多発リンパ節転移を認め,ドセタキセルによる化学療法を行ったが,1か月で死亡.もう1例は診断時に腹膜播種を認め,S-1+CDDPによる化学療法を行い10か月生存中,胃原発巣,皮膚(臍)転移,腹膜播種とも消失し完全奏功が得られている.【結論】皮膚転移は末期癌患者の全身転移の1 所見として見られることが多く,孤立性転移は極めてまれである.また,皮膚転移後の予後は極めて不良とされる.文献的には皮膚転移出現後の生存期間は中央値6 か月で,3 年以上の生存例はなかった.我々の経験した異時性孤立性皮膚転移症例は50か月,77か月の長期予後が得られている.また同時性の1例は化学療法で完全奏功が得られており,胃癌皮膚転移の予後は必ずしも不良ではなかった.
索引用語 胃癌, 皮膚転移