セッション情報 ワークショップ10(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

患者にやさしい大腸内視鏡検査の工夫

タイトル 内W10-13:

大腸内視鏡挿入困難例におけるDBEの有用性について

演者 鈴木 孝良(東海大・消化器内科)
共同演者 松嶋 成志(東海大・消化器内科), 峯 徹哉(東海大・消化器内科)
抄録 【目的】本邦における大腸癌の頻度は近年増加傾向にあるが、その診断において大腸内視鏡検査は最も標準的方法である。しかし、通常大腸スコープを使用した場合、数%の確率で盲腸までの挿入が不可能な患者が存在する。そこで、挿入率を向上するために様々な工夫が行われてきた。大腸内視鏡挿入観測装置(UPD)は挿入率向上や挿入時の疼痛軽減に寄与することが明らかとなり、挿入困難例での先端透明フード(Cap)の使用も挿入率向上に役立つことが示された。さらに、ダブルバルーン内視鏡(DBE)を使用することで通常大腸内視鏡で挿入不可能であった患者の9割以上で全大腸挿入が可能であることも最近報告されている。そこで、全大腸挿入率向上におけるDBEの有用性を明らかにするために、挿入困難例を対象に、DBE使用群とUPDとCap併用(UPD+Cap)群に無作為に割り付け比較検討をした。【方法】対象は当院で2007年4月より2010年9月までに大腸内視鏡経験10年以上の内視鏡医が通常スコープを使用して大腸内視鏡検査を試行したが盲腸まで挿入できないか挿入に30分以上を要し同意の得られた挿入困難例94症例。対象は無作為にDBE群とUPD+Cap群に割り付けた。検討項目としては30分以内の盲腸挿入率をprimary end pointとし、挿入時間、体位変換数、用手圧迫回数、pain score(visual analogue scaleを使用)と鎮静剤の総使用量をsecondary end pointとし評価した。【結果】2群間で平均年齢、男女比、腹部手術歴や大腸内視鏡検査理由に差は認めなかった。盲腸挿入率はUPD+Cap群(n=47)72.3%、DBE群(n=47)95.7%でDBE群が明らかに高率であった。平均挿入時間はUPD+Cap群16.4±4.8分、DBE群13.0±5.3分でありDBEは挿入時間の短縮に寄与していた。また体位変換数、用手圧迫回数、pain score、鎮静剤の総使用量においてもDBE群はUPD+Cap群に比し良好な値を示した。【結論】大腸挿入困難例におけるDBEの有用性が明らかとなった。
索引用語 DBE, 大腸挿入困難