セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-その他

タイトル 外P-634:

当院で経験した幽門側胃切除術における有茎空腸間置再建術61例の妥当性とその機能評価

演者 二宮 繁生(有田胃腸病院)
共同演者 其田 和也(有田胃腸病院), 有田 毅(有田胃腸病院)
抄録 【目的】幽門側胃切除術(DG)における有茎空腸間再建術(DGJI)の手術成績を明らかにし,その妥当性と術後機能を検証する.【方法】DGJIの手技は,術前診断が早期癌の症例には開腹後色素法によるセンチネルリンパ節生検を行い,術中迅速病理検査にてリンパ節転移の有無を検索し,可能な限り迷走神経腹腔枝を温存の上DGを行い,10~12cmの有茎空腸を結腸後に挙上し,胃空腸吻合,空腸十二指腸吻合,空腸空腸吻合を手縫い吻合にて行う.今回2002年1月から2011年12月までにDGJIを行った61例の手術成績を明らかにした.また61例中術後1年目に機能評価が行えた54例の胃切除後症候群(内視鏡的逆流性食道炎,逆流性胃炎の有無,吻合部潰瘍,ダンピング症候群,下痢)の頻度を明らかにした.【成績】平均年齢は61.4歳,男女比は44:17でセンチネルリンパ節生検は47例(77%)で施行し,迷走神経腹腔枝は58例(95%)で温存可能であった.平均手術時間は393.7分,平均出血量は436.3mlで輸血は1例(1.6%)で必要とした.合併症は11例(18%)(縫合不全1例,リンパ漏1例,胆嚢炎1例,深部静脈血栓1例,一過性胃排出障害7例)に認め,全例ともに保存的に軽快した.平均リンパ節郭清個数は31.1個で,リンパ節転移は16例(26.2%)に認め,Stage IA 40例,IB 6例,IIA 6例,IIB 6例,IIIA 3例であった.観察期間の中央値は47ヵ月で再発は5例(8.2%)に認めた.術後1年目の内視鏡検査では,全例ともに逆流性食道炎は認めず,逆流性胃炎は1例(1.6%)に認めた.また本術式特有の合併症である吻合部潰瘍を12例(19.6%)に認めた.術後1年目までにダンピング症候群を認めた症例はなく,1例(1.6%)で下痢を認めた.【結論】DGJIは安全かつ妥当な再建術式で,有用な機能温存術式である.しかしながら3箇所の吻合が必要であるため手術時間が長く,手術適応は限られる.また本術式特有の合併症である吻合部潰瘍の発生には注意を要する.
索引用語 幽門側胃切除, 空腸間置