セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-その他

タイトル 外P-635:

胃癌手術のための解剖認識の有用性

演者 金澤 卓(広島市民病院・外科)
共同演者 丁田 泰宏(広島市民病院・外科), 原野 雅生(広島市民病院・外科), 松川 啓義(広島市民病院・外科), 小島 康知(広島市民病院・外科), 濱田 円(広島市民病院・外科), 塩崎 滋弘(広島市民病院・外科), 大野 聡(広島市民病院・外科), 岡島 正純(広島市民病院・外科), 二宮 基樹(広島市民病院・外科)
抄録 [目的]:手術においては,解剖を熟知し,正しい層を剥離することが重要である.しかしながら,それぞれの症例は解剖も異なり,時折,思いがけないピットフォールに陥ることもある.胃癌手術における解剖学変異に対応し,術者助手の注意喚起をきたす目的で,重要な構造物の走行をタイプ別に分類し,手術記録に記載を義務つけることとした.[方法]腹腔動脈の分岐および,副肝動脈の有無について,術前CTから読み取れるものは,読み取っておく.1.Coronary veinの走行,2.副肝動脈の有無,3.IPAの走行(PPG),4.自律神経腹腔枝の走行(温存症例)について,術後手術記録に記載することとし,共通認識の徹底を図った.coronary veinには,門脈系に流入する経路別に分類し,CHAの前面を通るもの:1型,SpAの前面を通るもの:2型,CHAの背側を通るもの:3型とした.GDAとRGEAの境界は,上前膵十二指腸動脈分岐前後としたが1),上前膵十二指腸動脈がはっきりしないものは,膵臓からのたちあがりを境界とし,IPAがどちらから分岐するかを分類した.[結果]2012年4月からの97例で検討した.Coronary vein 走行1型:26例(27%) 2型:14例(14%) 3型:56例(58%),肝門部への流入例:1例. 副肝動脈は,8例に認めた(8.3%).膵臓上縁にCHAが存在せず,PHAがSMAから分岐していたもの:1例.副左胃動脈:1例.IPA走行:GDからの分岐:84%,RGEAからの分岐:16%であった.自律神経腹腔枝については,全例胃膵襞内を走行していた.左副肝動脈があるものについては,さらにその背側に位置することが多かった.[まとめ] coronary vein,副肝動脈,IPAの走行について,術前から常に意識することで,術者,助手の間での共通認識が生まれ,1.手術の円滑な進行2.解剖認識の誤りによる合併症の防止3.レジデントへの教育に効果があったと思われた.
索引用語 IPA, coronary vein