共同演者 |
奥村 知之(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 祐川 健太(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 三輪 武史(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 森山 亮仁(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 関根 慎一(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 渡辺 智子(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 北條 荘三(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 渋谷 和人(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 吉岡 伊作(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 松井 恒志(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 澤田 成朗(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 吉田 徹(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 長田 拓哉(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 塚田 一博(富山大・消化器・腫瘍・総合外科) |
抄録 |
【はじめに】 ヒトiPS細胞樹立に必要な各転写因子(Klf4,Oct4,c-Myc,Sox,Nanog) の組織上での発現の有無が,発癌や癌の予後因子となりえると報告されている. 【目的】胃癌切除標本におけるiPS関連因子(Klf4,Oct4,c-Myc,Sox,Nanog)の発現解析を行い, 臨床病理学的因子との関連及び, 予後との関連について検討する. 【方法】2001年から2008年までに胃癌に対し, 当科にて胃切除術を施行した267症例の切除病理標本より, 検体量の十分とれると判断した130例において, Tissue Micro Arrayを作製し,上記因子の免疫組織染色を行った. Array作製時に不適切な標本と判断した12例を除いた計108例を最終的な対象とした. 臨床学的パラメータおよび, iPS因子の発現について解析し, 発現強度は3段階,発現分布を2段階評価し,計5段階で評価した.【結果】 Oct4,c-Myc,Soxの発現の有無の検討では全生存率を含めた臨床病理学的パラメータに有意差は認めなかった. Klf4発現の低下群は全生存率にて有意差を認めないものの(Log-Rank Test P=0.08),他病死を除いたdisease specific survivalでは有意に予後不良であった. (Log-Rank Test P=0.033). 更にNanog発現の増加は有意差を認めないものの,予後不良因子である傾向を認め,他病死,Stage4症例を除いた検討では有意差を認め,( Log-Rank Test P=0.048)予後因子となる可能性が示唆された. 更にStage2及びStage3症例計48例における検討では, Klf4発現低下, T因子(T2:T3T4), V+,ly+, 腫瘍径5cm以上,リンパ節転移7個以上の項目において有意に予後不良であった.(Log-Rank Test P<0.05). 多変量解析を行った結果, Klf4発現低下群が独立予後因子として抽出された.( Log-Rank Test P=0.0159). Klf4発現低下は根治手術施行進行癌症例での予後不良因子としての有用性が示唆されると考えられた.若干の文献的考察, 展望を含め報告する. |