セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-基礎研究 2

タイトル 外P-645:

プロスタグランジンD2による胃癌細胞に対する増殖抑制機序の解明

演者 福岡 達成(大阪市立大大学院・腫瘍外科学)
共同演者 八代 正和(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 木下 春人(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 渡邊 真央(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 森崎 珠実(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 大北 仁裕(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 青松 直撥(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 長谷川 毅(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 平川 俊基(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 李 友浩(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 櫻井 克宣(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 豊川 貴弘(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 久保 尚士(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 田中 浩明(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 六車 一哉(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 大平 雅一(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 平川 弘聖(大阪市立大大学院・腫瘍外科学)
抄録 [背景]プロスタグランジン (PG) やその合成酵素であるCyclooxygenase-2 (COX-2) は癌の発生,増殖に深く関与しているとされる.その中でPGD2は肥満細胞や肺胞マクロファージなどから産生され,種々の細胞のPG受容体(DP1,DP2)に作用し様々な生理活性効果を示すとされるが,最近PGD2が肺癌細胞の増殖を抑制すことが報告され,PGD2の代謝誘導体15d-PGJ2およびその受容体であるPPARγの関与が示唆されている.いまだ消化器癌におけるPGD2の効果が明らかにされていないことから,今回我々は胃癌におけるPGD2の抗腫瘍効果およびその機序を明らかにすることを目的として検討を行った [方法]材料は胃癌細胞株(OCUM-2M,OCUM-12,MKN-74),PGD2およびPPARγ阻害剤(BADGE)を用いた.RT-PCRにて胃癌細胞株におけるDP1,DP2,PPARγ発現量について検討した.胃癌細胞にPGD2,PPARγ阻害剤を添加し,胃癌細胞の増殖能に及ぼす影響をMTT法にて検討した.さらにPPARγの活性化シグナルに対する影響をウェスタンブロット法にて検討した.[結果] DP1,DP2発現は胃癌細胞3株いずれにも認めず,PPARγは胃癌細胞3株ともに認めたが,OCUM-12での発現は他の2株に比べ有意に少なかった.増殖能に関してPGD2はOCUM-2M,MKN-74の増殖を濃度依存性に有意に抑制したが,OCUM-12には影響しなかった.PPARγ阻害剤は,このPGD2によるOCUM-2M,MKN-74に対する増殖抑制作用を有意に低下させた.さらにPGD2はPPARγの活性化シグナルであるc-Myc,CyclinD1の発現を抑制し,PPARγ阻害剤によってPGD2による発現抑制作用を低下させた. [結論]PGD2はPPARγを発現する胃癌細胞の増殖を抑制し,PPARγの下流シグナルであるc-myc,cyclin D1,βcateninの活性抑制がその機序として考えられた.PGD2は胃癌の新しい分子標的阻害剤であることが示唆された.
索引用語 胃癌, プロスタグランジンD2