セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-基礎研究 2

タイトル 外P-646:

胃癌組織内に浸潤する制御性T細胞(Treg)と樹状細胞との関係

演者 大北 仁裕(大阪市立大大学院・腫瘍外科学)
共同演者 田中 浩明(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 木村 健二郎(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 永原 央(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 豊川 貴弘(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 天野 良亮(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 久保 尚士(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 六車 一哉(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 大谷 博(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 前田 清(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 大平 雅一(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 平川 弘聖(大阪市立大大学院・腫瘍外科学)
抄録 【目的】これまで腫瘍浸潤に浸潤した未熟な樹状細胞(DC)の増加は予後を悪化させることが報告されている.Foxp3を発現した制御性T細胞(Treg)の腫瘍内での増加も,予後を悪化させることが報告されている.免疫抑制性サイトカインやケモカインを産生し,Tregを誘導する免疫抑制性DCは,癌の増殖や進展と関連することが示唆されている.CD11bはdermal/interstitial DCやmonocyte DCの一部のsubsetに発現するが,近年CD11b(+)DCが免疫寛容を促す可能性が示唆されてきている.我々はこれまで,胃癌細胞株によりDC上のCD11b発現が増強し,DCのmaturationが阻害される可能性を報告した.今回,我々は胃癌組織内におけるCD11b樹状細胞とTregとの関連について検討した.【方法】当科で切除した胃癌切除標本171例のパラフィン包埋切片での免疫組織染色を行い,腫瘍浸潤DC,Tregと臨床病理学的因子との関連について検討を行った.【成績】CD11b免疫組織染色では,CD11b陽性細胞上の約90%にCD11c発現を認めた.CD11b(+)DCは主に腫瘍間質に認め,腫瘍径の大きい群,壁進達度の進んだ群,リンパ節転移陽性例,V因子陽性例でCD11b(+)DCが多かった(100倍×10視野あたり60個以上).未分化型でCD11b(+)DCの浸潤が多い傾向にあった.CD11b(+)DCが多く浸潤した群では,全生存期間(OS),無再発生存期間(RFS)ともに有意に悪化した.Tregは,腫瘍間質とともに腫瘍上皮にも認めた.リンパ節転移陽性群,壁進達度の進んだ群でTregが多かった(100倍×10視野あたり90個以上).Tregが多い群で,OSは悪化する傾向を認め(P=0.058),RFSは有意に悪化した(P=0.047).CD11b(+)DCの多い群とTregの多い群との間に強い相関関係を認めた(P=0.019).【結論】胃癌組織内のTregはリンパ節転移などの進展と関連しており,組織内のCD11bDCがTregを誘導している可能性が示唆された.
索引用語 制御性T細胞, 樹状細胞