セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

胃-基礎研究 2

タイトル 外P-648:

根治度・非治癒因子別にみた進行胃癌に対する治療方針決定におけるthrombospondin 1 (THBS1)発現の意義

演者 栗田 信浩(徳島大・消化器・移植外科)
共同演者 島田 光生(徳島大・消化器・移植外科), 岩田 貴(徳島大・消化器・移植外科), 佐藤 宏彦(徳島大・消化器・移植外科), 吉川 幸造(徳島大・消化器・移植外科), 宮谷 知彦(徳島大・消化器・移植外科), 柏原 秀也(徳島大・消化器・移植外科), 高須 千絵(徳島大・消化器・移植外科), 松本 規子(徳島大・消化器・移植外科)
抄録 目的: Thrombospondin1(THBS1)発現が,R0症例における再発リスク予測や根治切除不能症例の効果・予測因子となり個別化治療の一助となることを報告したが(第67回日本消化器外科学会),根治切除不能例を非治癒因子別に有効な治療法を検討し,THBS1発現の意義を再検討した.対象・方法: 検討1: R0手術施行例における検討 R0手術施行Stage II・III胃癌128例(Stage II: 55例,III: 73例)の切除標本を免疫組織化学染色し,30%以上の細胞が染色される場合をTHBS1陽性とした.検討2: 根治切除不能例における検討 110例を P1 or CY1 78例とP0・CY0 32例(H1: 21, M(LYM): 8,その他: 3)に大別.P1 or CY1 71例に胃切除,27例にNAC(DCS: 8, S-1+Taxane 16, SP: 1, S-1: 2)施行.P0・CY0 21例にNAC(DCS: 9, SP: 4, S-1+Taxane: 6, TS-1: 2),胃切除のみ27例,内7例に転移巣切除or RFAを追加.THBS1発現は検討1と同じ基準で判定した.結果: 検討1: THBS1は40例(31.1%)に陽性.THBS1(+)例の22例(55.0%)に再発がみられ,5年DFS 16.0%であった.THBS1(-)例の再発は19例(21.6%),DFS 71.7%で,THBS1(-)例が有意に予後良好であった.検討2: THBS1は34例(28.9%)に陽性.P1 or CY1 78例中,THBS(+)例はTHBS(-)例より,NAC施行例は非施行例より有意に予後良好(MST: 20m vs 10m, 13m vs 10m),NAC奏功例,Taxane,S-1使用例が予後良好で,THBS1発現とTS1使用が独立予後予測因子であった.Taxaneを中心としたNAC奏功例で,有意にTHBS1発現が高率であった.P0・CY0 32例中,THBS1(+)例は予後良好な傾向(p=0.10),転移巣を含めた外科療法施行のみ有意に予後良好であった(MST: 22m vs 12m).結論: H1・M(LYM)症例では積極的な切除を必要とする.THBS1発現はR0症例の再発予測因子・P1・CY1症例における効果・予後予測因子となり,補助化学療法適応決定の一助となり得る.
索引用語 進行胃癌, THBS1