共同演者 |
中田 浩二(東京慈恵会医大・消化器外科), 村上 慶四郎(東京慈恵会医大・消化器外科), 岩崎 泰三(東京慈恵会医大・消化器外科), 古西 英央(東京慈恵会医大・消化器外科), 青木 寛明(東京慈恵会医大・消化器外科), 坪井 一人(東京慈恵会医大・消化器外科), 志田 敦男(東京慈恵会医大・消化器外科), 矢野 文章(東京慈恵会医大・消化器外科), 三森 教雄(東京慈恵会医大・消化器外科), 羽生 信義(東京慈恵会医大・消化器外科), 小村 伸朗(東京慈恵会医大・消化器外科), 矢永 勝彦(東京慈恵会医大・消化器外科) |
抄録 |
【背景】胃癌に対する幽門側胃切除術において,器械吻合,腹腔鏡手術が広く行なわれるようになってきたが,これらの吻合手技,アプローチ法の違いが術後中長期の残胃運動能や生活状況に及ぼす影響はほとんど知られていない.【目的】幽門側胃切除Billroth I法再建(DGBI)における吻合手技・アプローチ法が,残胃運動能に及ぼす影響について検討した.【方法】早期胃癌に対してDGBI施行後1年以上経過した器械吻合・腹腔鏡下(Laparoscopic-assisted gastrectomy;LAG)群8名,手縫吻合・開腹群(Open gastrectomy;OG)15名および健常人(HV)20名に,(1)13C-呼気試験法胃排出能検査:液状食[200 kcal/200ml]+13C-酢酸Na100mgの投与後3時間まで呼気を採取しWagner-Nelson解析にて貯留能(摂取後5分の胃内残存率;RR5)と排出能(50%排出時間;T1/2)を算出,(2)ドリンクテスト:体重[kg]×10 [ml]の常温水を5分で飲水し,出現する症状の強さと持続時間をスコア化(3)アンケート:体重変化,食事量,食事回数,消化器症状について比較検討した.【成績】HV,LAG,OGの順にRR5(%)は93.7, 66.4*, 33.9*+,T1/2(分)は23.3, 7.8*, 4.2*+(* p<0.01 vs. HV, + p<0.05 vs. LAG)であった.LAGとOGはともにHVと比べて有意な貯留能低下と排出亢進がみられたが,LAGではOGと比べて貯留能低下と排出亢進が有意に軽減され,ダンピングが少ない傾向にあった(p<0.065).ドリンクテスト,アンケートの他の項目では差は認められなかった.【結論】B-I再建における吻合手技,アプローチ法の違いは残胃運動能に有意な影響を及ぼし,またダンピングの発生にも影響を及ぼす可能性が示唆された. |