セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

十二指腸-治療

タイトル 外P-652:

当院で経験した原発性十二指腸癌の検討

演者 西村 廣大(岐阜社会保険病院・外科)
共同演者 太田 俊介(岐阜社会保険病院・外科), 池山 隆(岐阜社会保険病院・外科)
抄録 【諸言】原発性十二指腸癌は稀な疾患で,外科的根治切除が基本である.治療成績や予後因子などについてまとまった報告は少なく,依然として明確な治療ガイドラインは確立されていない.我々は,2006年~2012年の過去7年間で3例の原発性十二指腸癌を経験したので報告する.【症例】症例1:肝機能異常の精査で行ったERCPで乳頭部癌と診断され,2006年8月にSSPPD施行した.病理結果は十二指腸下行部癌で高分化腺癌,pMP,pN0,ly1,v0であった.術後補助化学療法は施行せずにフォローし,現在まで無再発生存中である.症例2:吐血で来院し,GISでは出血源は不明だった.UGIで十二指腸水平部に途絶を認め,SMA症候群と術前診断し,2009年5月に手術施行した.しかし,腹膜播種を伴う十二指腸水平部癌であり,十二指腸空腸バイパス術のみを施行した.術後早期から状態不良で化学療法は施行できぬまま術後5カ月目に死亡した.症例3:心窩部痛を主訴に近医受診しGIS施行.十二指腸球部癌と診断され,2012年8月 SSPPD施行した.病理結果は低分化型腺癌,pSS,pN+(#4d,#6,#14),ly1,v1であったため術後補助化学療法としてTS-1内服を開始し,外来フォロー中である.【考察】症例1は進行癌だったが,根治切除可能であり,早期に発見出来たため予後は良好だった.症例2は十二指腸水平部癌で,診断された時点で高度に進行していたため予後不良であった.症例3は進行癌だったが,根治切除が可能であり,低分化癌でリンパ節転移陽性ではあるものの現在無再発である.早期発見が予後を左右すると考えるが,十二指腸癌はその発生部位によってGISでの発見のしやすさに違いが出る.早期発見のためにはGIS検査時に苦痛が無い範囲で深部まで観察することが大切であると思われた.また十二指腸癌にはまだ明確なガイドラインが無いため,術後の補助治療に関しては胃癌や膵癌に準ずることが多く,症例3でも術後補助化学療法としてTS-1を投与している.今後の症例の集積と検討により十二指腸癌独自の規約やガイドラインの作成が望まれる.
索引用語 原発性十二指腸癌, SSPPD