セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

十二指腸-症例 1

タイトル 外P-658:

幽門側胃切除Roux-Y再建術後に発生した十二指腸憩室炎に対する腹腔鏡手術の1例

演者 長久 吉雄(倉敷中央病院・外科)
共同演者 本間 周作(国立姫路医療センター・外科), 松田 祐輔(国立姫路医療センター・外科), 小河 靖昌(国立姫路医療センター・外科), 松下 貴和(国立姫路医療センター・外科), 和田 康雄(国立姫路医療センター・外科)
抄録 十二指腸憩室内結石は比較的高齢者に多く見られ,憩室炎や穿孔などを続発することもある.その発生原因としては腸管内容のうっ滞や腸管内pHの変化などが挙げられ,胃切除後ではBillroth2法再建が選択された場合に発生の報告がある.今回我々は,腹腔鏡下幽門側胃切除・Roux-Y再建後に発生した十二指腸憩室内結石を伴う憩室炎の症例を経験したので報告する.症例は50代の女性で3年前に腹腔鏡下幽門側胃切除・Roux-Y再建術を受けた既往があった.上腹部痛で近医を受診し腹膜炎と診断され当院に救急搬送された.腹部CTにて十二指腸憩室内結石とその周囲の高度の炎症像を認め,十二指腸憩室炎と診断した.先行手術が完全腹腔鏡下に実施されていたため癒着の影響は少ないと判断し,腹腔鏡下に緊急手術を施行した.憩室は膵側に存在し結石が充満し十二指腸は高度に腫脹していた.憩室の処理は縫合不全のリスクが高いと判断し,十二指腸切開による憩室内結石の除去と腸管内容のうっ滞を改善する目的に十二指腸空腸吻合を行った.術後の経過は良好で11病日目に退院となった.本症例では術中所見でY脚に索状物の癒着が認められ,腸管内容のうっ滞が結石形成の一因となったと推測された.胃切除・Roux-Y再建術後に結石を伴う十二指腸憩室炎が発生した報告はなく,本邦初の症例と考えられた.腹腔鏡手術では憩室内観察も可能で有用性は高く,上部消化管内視鏡による結石の摘出が不可能な場合には極めて有効な治療選択枝になりうると考えられた.
索引用語 十二指腸憩室炎, 胃切後