セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

十二指腸-症例 1

タイトル 外P-659:

上腸間膜動脈症候群の2例:大動脈-上腸間膜動脈分岐角度の検討を含めて

演者 小山 佳紀(長野県立木曽病院・外科)
共同演者 小出 直彦(長野県立木曽病院・外科), 西川 明宏(長野県立木曽病院・外科), 秋田 眞吾(長野県立木曽病院・外科), 河西 秀(長野県立木曽病院・外科), 久米田 茂喜(長野県立木曽病院・外科)
抄録 【緒言】上腸間膜動脈症候群(以下,SMAS)の2例を経験したので,大動脈―上腸間膜動脈分岐角度(以下,A-S angle)の検討を含めて報告する.【症例】(1)81歳女性.嘔吐を主訴に受診した.腹部CTにて胃~十二指腸下行脚の著明な拡張を認め,十二指腸水平部が上腸間膜動脈と大動脈との間にて急峻に狭窄しSMASと診断した.経鼻胃管留置による保存的治療にて軽快した.本症の発症には,発症前の1年間での10kgの体重減少,32mmの腹部大動脈瘤,及び,腰椎の高度な変形性変化の関与が考えられた.半年後にSMASが再燃し,十二指腸空腸吻合術を施行した.術後,再燃は認めていない.(2)73歳男性.嘔気・嘔吐を主訴に受診し,腹部CTにて十二指腸水平部が上腸間膜動脈と大動脈との間にて急峻に狭窄しておりSMASと診断した.手術治療を希望され,十二指腸空腸吻合術を施行した.術後,再燃は認めていない.【考察】SMASは,急激な痩せ,脊柱の異常,腹部大動脈瘤,腹部手術の既往などが関与する.大動脈からの上腸間膜動脈の分岐角度が評価の指標として用いられている.本症発症時には,十二指腸での通過不良,胃内容の停滞・胃の拡張により,上腸間膜動脈が背側に圧排され十二指腸の通過がより不良となり,それによって胃内容の停滞・胃の拡張が更に増悪して,上腸間膜動脈を背側により一層,圧排するという悪循環に陥っていると考えられる.本症患者の無症状時のA-S angleは,発症時の角度とは一致しない.症例(1)のA-S angleは無症状時79°・発症時31°,症例(2)のA-S angleは無症状時39°・発症時14°と,25°以上の変化を認めた. したがって,A-S angleにどのような意味を求めるか,若干の文献的考察を含め報告する.
索引用語 上腸間膜動脈症候群, 上腸間膜動脈分岐角度