セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

十二指腸-症例 1

タイトル 外P-660:

腹腔鏡補助下に切除した十二指腸カルチノイドの1例

演者 河本 真大(住友病院・外科)
共同演者 亀谷 直樹(住友病院・外科), 崎村 千恵(住友病院・外科), 呉 幸枝(住友病院・外科), 吉井 真美(住友病院・外科), 加藤 幸裕(住友病院・外科), 山片 重人(住友病院・外科), 中澤 一憲(住友病院・外科), 阿古 英次(住友病院・外科), 西村 重彦(住友病院・外科), 山田 靖哉(住友病院・外科), 妙中 直之(住友病院・外科)
抄録 症例は70歳の男性,7年前から十二指腸球部に1cm大の隆起性病変を指摘されていた.経過観察中の上部消化管内視鏡検査にて2cm大に病変が増大しており,EUS-FNAにてカルチノイド(NET G1)の診断を得,手術目的にて当施設を紹介受診された.画像上の遠隔転移やリンパ節転移を認めなかった. 手術は#3,#4d,#5,#6リンパ節を郭清し十二指腸球部まで切除する幽門側胃切除術を腹腔鏡補助下にて行った.再建はBillroth II法で行いBraum吻合を追加した. 病理組織診断結果は,十二指腸球部の粘膜筋板~固有筋層の深部にかけて16×12mm大の腫瘍を認め,類円形~楕円形の核を有する腫瘍細胞が篩状構造・ロゼット様構造を形成する像が認められ,免疫染色ではクロモグラニン陽性,シナプトフィジン陽性,CD56陽性,Ki-67陽性率は3%以下であった.リンパ節転移は0/20で認めなかった.術後経過は良好で術後13日目に退院となった. 1cmを超えるカルチノイドはリンパ節転移を生じる可能性が高くなるため癌に準じたリンパ節郭清を行う必要があるとの報告があるが,癌に準じたD2郭清として膵頭十二指腸切除術等の侵襲の大きい手術を行うことは自験例のようなリンパ節転移を疑わない球部のカルチノイドにおいて安全性と根治性のバランスが悪いと考えられたため,十二指腸周囲のリンパ節郭清を伴う幽門側胃切除術を行った. 十二指腸球部のカルチノイドに対して腹腔鏡下に切除しえた一例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 腹腔鏡手術, 十二指腸カルチノイド