セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

十二指腸-症例 2

タイトル 外P-662:

保存的加療できた十二指腸憩室穿孔の2例

演者 池西 一海(済生会御所病院・外科)
共同演者 志野 佳秀(済生会御所病院・外科), 西尾 和司(済生会御所病院・外科), 成清 道博(済生会御所病院・外科), 中谷 勝紀(済生会御所病院・外科)
抄録 (諸言)十二指腸憩室は消化管憩室の中で結腸についで頻度が高いが,その穿孔は比較的まれである.われわれが医学中央雑誌で十二指腸憩室穿孔(会議録を除く)をキーワードとして1983年から2012年まで検索したところ本邦報告例は自験例を含め57例であった.(症例1)50代の女性.主訴は心窩部痛.既往歴は特になし.平成25年2月朝から急に心窩部の痛みを訴え近医受診された.腹膜炎の診断で当院紹介となった.上腹部中心に腹膜刺激症状を認め,腹部造影CT検査にて十二指腸下行脚内側よりの背側に辺縁が濃染する薄い隔壁とその周囲の膵頭部背側にfree airを認めた.十二指腸憩室の穿孔と診断し,腹膜刺激症状は強く認められたが限局していたため保存的加療を選択した.経鼻胃管による減圧,抗生剤(DRPM)投与,TPN管理を行った.4日後には腹痛も改善され,10日後に経鼻胃管から造影検査を行い,憩室壁外へのleakも認めなかったため経鼻胃管を抜去し,17日目に食事を開始し,25日目に退院となった.(症例2)80代の女性.主訴は腹痛.既往歴は高血圧と下肢静脈血栓症.高血圧にて通院中の内科受診時に上腹部痛を認め,精査の腹部造影CT検査にて十二指腸水平脚の壁肥厚と頭側中心に脂肪組織の混濁とfree airを認めた.十二指腸水平脚の憩室穿孔と診断し後腹膜に限局しているため保存的加療を選択した.7日後に経鼻胃管から造影検査を行い,水平脚に憩室を認めたが憩室壁外にはleakは認めず9日目に経鼻胃管を抜去した.(まとめ)本邦報告例で保存的加療が可能であった報告は自験例を含め10例であり穿孔症例の17.5%にとどまる.保存的治療では全身状態の悪化がないか慎重に経過観察する必要があり,状態が悪化した場合は早急に外科的治療に移行することが肝要である.
索引用語 十二指腸憩室穿孔, 保存的治療