セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 6

タイトル 外P-666:

妊娠中にイレウス症状を呈し発見されたLynch症候群の一例

演者 渡邉 佑介(姫路赤十字病院・外科)
共同演者 岡本 拓也(姫路赤十字病院・外科), 國府島 健(姫路赤十字病院・外科), 芳野 圭介(姫路赤十字病院・外科), 戸田 桂介(姫路赤十字病院・外科), 遠藤 芳克(姫路赤十字病院・外科), 信久 徹治(姫路赤十字病院・外科), 渡邉 貴紀(姫路赤十字病院・外科), 松本 祐介(姫路赤十字病院・外科), 甲斐 恭平(姫路赤十字病院・外科), 佐藤 四三(姫路赤十字病院・外科)
抄録 症例は38歳女性.妊娠31週で腹痛,嘔吐が出現.近医受診し腹部レントゲンにてniveauを認めたため,胃管チューブを留置し保存的に加療されていた.しかしWBCが低下し敗血症性ショックとなったため,当院に母体搬送された.外科,産婦人科での検討の結果,帝王切開後に母体治療をすることが母子双方にとって安全と判断し,緊急にて帝王切開術を施行した.開腹時に腹腔内を確認したところ,横行結腸に奨膜外浸潤をきたす腫瘍を認め,イレウスの原因と判断された.同時結腸切除は施行せず,全身状態の改善,精査後に手術の方針とした.CTでは横行結腸肝弯に奨膜面への毛羽立ちを認める壁肥厚,全周性狭窄を認めた.CFでは全周性の2型病変でガストログラフィンの通過も不可であった.手術は右半結腸切除術を施行し,術後経過良好にて母子ともに問題なく退院した.また家族歴として3人の伯父伯母が20歳から40歳代で3人大腸癌で死去されており,術後組織よりMSIテスト陽性,免疫染色にてMLH1(-)のLynch症候群と診断された.Lynch症候群はミスマッチ修復遺伝子(MLH1,MSH2,MSH6,PMS2)の病的変異に起因し,大腸,子宮内膜,卵巣,胃などに悪性腫瘍が好発する常染色体優性遺伝性疾患である.また妊娠中に消化器癌の合併を認める頻度は少なく,中でも大腸癌の頻度は極めて低い.今回我々は妊娠中にイレウス症状を呈し発見されたLynch症候群を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.
索引用語 Lynch症候群, 妊娠