セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 6

タイトル 外P-669:

リンパ節転移を契機に発見された虫垂癌の一例

演者 森 禎三郎(川崎市立井田病院・外科)
共同演者 中村 威(川崎市立井田病院・外科), 石井 大(川崎市立井田病院・外科), 嶋田 恭輔(川崎市立井田病院・外科), 玉川 英史(川崎市立井田病院・外科), 石川 修司(川崎市立井田病院・外科), 有澤 淑人(川崎市立井田病院・外科), 中塚 誠之(慶應義塾大・放射線科), 品川 俊人(川崎市立井田病院・病理検査部), 橋本 光正(川崎市立井田病院・外科)
抄録 虫垂癌は消化管悪性腫瘍の中でも比較的稀な疾患で,術前診断が困難,正診率が低いことで知られている.組織学的に固有筋層が薄く,癌細胞が漿膜まで容易に浸潤すること,リンパ組織に富んでいることから早期にリンパ節転移を来たしやすいため,発見時すでに進行していることが多い.今回我々はリンパ節転移を契機に発見され,根治術を施行するに至った虫垂癌の一例を経験したので報告する.症例は70代男性.近医で施行された血液検査で腫瘍マーカー高値(CEA 27.9, CA19-9 55.0)を指摘され,精査目的に当院内科を紹介受診した.胸腹部CT,上下部消化管内視鏡検査では明らかな腫瘍性病変は指摘されなかった.PET-CTを施行したところ,十二指腸近傍に陽性所見を認め,精査加療目的に当科依頼となった.指摘部位は十二指腸近傍に存在するリンパ節腫大と考えられ,リンパの流れより右結腸,特に盲腸・虫垂癌からの転移であると考えられた.再度造影腹部骨盤部CT施行したところ虫垂の腫大を認め,虫垂癌およびリンパ節転移が強く疑われ,診断および治療目的に手術施行する方針となった.術中所見では明らかな腹膜播種や他臓器転移は認めなかった.PET-CTで陽性となった部位は回結腸動静脈に所属するリンパ節の腫大であり,虫垂も棍棒状に腫大していたことから術前診断に矛盾しないと考え,回盲部切除術およびD3リンパ節郭清術を施行した.病理検査ではEarly carcinoma of the appendix vermiform,V,type 0-2a,tub2>>por1,SM2,int,INFa,ly2,v1,N1,M0であった.虫垂癌は本症例のように転移巣の発見を契機として診断されることも珍しくなく,原発不明の腫瘍においては虫垂癌からの転移を常に鑑別疾患として検討する必要があると考えられる.またその際にはリンパや血液の流れを意識して原発を検討することが有用であると考えられた.
索引用語 虫垂癌, リンパ節転移