セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 6

タイトル 外P-670:

上行結腸癌に腸間膜Castleman病を合併した1例

演者 増渕 麻里子(東海中央病院・外科)
共同演者 八木 斎和(東海中央病院・外科), 藤岡 憲(東海中央病院・外科), 渡邉 卓哉(東海中央病院・外科), 堀場 隆雄(東海中央病院・外科)
抄録 症例は40歳,男性.検診で便潜血陽性を指摘されCFを施行,上行結腸癌と診断され紹介となった.腹部CTにて上行結腸に一部壁肥厚を認めたほか,回結腸動脈根部に造影効果のある直径4cmのリンパ節を認めた.しかし癌近傍には腫大したリンパ節は指摘できなかった.血液検査所見ではWBC 5670/μl,RBC 468万/μl,CRP 0.11mg/dl,CEA 3.99ng/ml,CA19-9 8.3U/mlと異常を認めず,可溶性IL-2R 327U/mlと上昇を認めなかった.以上より,腫大したリンパ節を含め右半結腸切除術を施行した.開腹所見で上行結腸の腫瘍は2cm大に触知し,深達度はSSと診断した.また,回結腸動脈根部に直径4cm,弾性軟の腫大リンパ節を認めた.回結腸動脈を根部で結紮切離し,D3郭清を施行した.病理組織学的検査にて,腫大したリンパ節には小型の胚中心を伴ったリンパ濾胞を密に認め,マントル層の発達が目立った.また,濾胞間および胚中心に硝子変化を伴った血管増生を認めた.免疫組織学的に,マントル層細胞ではCD20とBCL-2が陽性,CD3,CD5,CD10が陰性に,胚中心細胞ではCD20とCD10が陽性,CD3,CD5,BCL-2が陰性であり,Cyclin D1も陰性であったことから,Hyalin vascular typeのCastleman病と診断した.また,切除したその他のリンパ節には同様の変化は認めず,病変は単発性と考えられた.上行結腸癌については大腸癌取扱い規約(第7版)に従い,A,Type2,2×2.5cm,SS,N0,H0,P0,M0,Stage2と診断した.術後測定したIL-6は1.1pg/mlと低値であった.術後追加治療は施行せず,経過観察中である.腸間膜に発生するCastleman病は比較的まれで,大腸癌との合併は検索した限り本症例で4例目であった.若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 Castleman病, 大腸癌