セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 7

タイトル 外P-672:

原発性虫垂癌の4症例

演者 中谷 研介(横須賀市立うわまち病院・外科)
共同演者 松谷 大輔(横須賀市立うわまち病院・外科), 岡田 晋一郎(横須賀市立うわまち病院・外科), 奥村 賢治(横須賀市立うわまち病院・外科), 菅沼 利行(横須賀市立うわまち病院・外科), 森川 瑛一郎(横須賀市立うわまち病院・消化器内科), 妹尾 孝浩(横須賀市立うわまち病院・消化器内科), 湯山 晋(横須賀市立うわまち病院・消化器内科), 高邑 知生(横須賀市立うわまち病院・消化器内科), 飯田 真岐(横須賀市立うわまち病院・病理科), 辻村 志朗(横須賀市立うわまち病院・病理科)
抄録 【緒言】原発性虫垂癌は比較的稀な疾患で,発生頻度は大腸癌の約1%,虫垂切除例の0.01~2%と報告されている.当科では2009年から2013年に4例の原発性虫垂癌を経験したので,ここに報告する.【症例1】67歳男性,既往歴に脳梗塞,僧房弁閉鎖不全,胆石,胃GISTがある.右下腹部痛を主訴に来院し,虫垂炎と診断され虫垂切除術を施行された.病理組織診断で虫垂腺癌,ss浸潤と診断され,初回手術8日後に回盲部切除術を施行した.盲腸に癌遺残は認めなかったが,リンパ節転移(n1/7)を認めた.無再発経過中.【症例2】80歳男性,既往歴に高血圧,心房細動,右腎細胞癌,前立腺肥大がある.下血を主訴に下部内視鏡検査を行い,盲腸底部に粘膜下腫瘍を指摘されたことから虫垂嚢胞性腫瘍を発見し,腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した.病理組織診断は粘液嚢胞腺癌でリンパ節転移はなかった.無再発経過中.【症例3】58歳女性.子宮体癌に罹患し,術前CT検査で虫垂腫瘍を指摘された.開腹子宮全摘,両側付属器切除術と同時に回盲部切除術を施行された.病理組織診断は乳頭状腺癌で,sm浸潤,リンパ節転移はなかった.無再発経過中.【症例4】80歳男性.既往歴に慢性C型肝炎,肝硬変,十二指腸潰瘍がある.貧血を主訴に行われた下部内視鏡検査で虫垂口に不整な腫瘍を認めた.腹腔鏡手術を行ったが腹膜播種と腹壁浸潤を認め,開腹移行し回盲部切除術を施行した.病理組織診断は粘液嚢胞腺癌で,腹膜播種を認めているが現在生存中である.【考察】虫垂癌の症状は腹痛,腹部膨満など腹部症状を有するものから便潜血陽性や他疾患精査の際に偶然診断されたものも多くあり発見契機は多様だった.当科の虫垂癌発生頻度は大腸癌の1.5%(4/269),虫垂切除術の3.2%(4/125)だった.虫垂癌の標準術式はないもののリンパ節転移を認めることも稀ではないため,大腸癌治療ガイドラインに準拠した術式を選択するべきと考える.
索引用語 虫垂癌, 虫垂嚢胞性腫瘍