セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 7

タイトル 外P-673:

ステロイドが原因と考えられた大腸憩室穿孔の検討

演者 高橋 啓(岐阜赤十字病院・外科)
共同演者 林 昌俊(岐阜赤十字病院・外科), 栃井 航也(岐阜赤十字病院・外科), 小久保 健太郎(岐阜赤十字病院・外科), 松本 光善(岐阜赤十字病院・外科)
抄録 ステロイドが誘因となる消化管穿孔は比較的稀であるが,今回我々はステロイド内服患者の大腸憩室穿孔を2例(3件)経験したので,文献的考察を加えて報告する.1例目は76歳,女性.血痰,血小板減少症の精査目的で当院血液内科に入院し,特発性血小板減少性紫斑病(以下ITP)と診断された.プレドニゾロン50mgを開始したところ血小板数は改善し,プレドニゾロンは漸減中であった.入院16日目に突然下腹部痛を自覚したため腹部CTを施行し,後腹膜遊離ガスを認め下部消化管穿孔と診断した.緊急開腹術でS状結腸憩室穿孔を認め,S状結腸切除および下行結腸人工肛門造設術を施行した.術後は全身状態改善しプレドニゾロンの内服を再開したが,術後25日目に突然ショック状態となり,CTで消化管穿孔を認めた.横行結腸憩室穿孔を認め下行結腸および横行結腸切除,人工肛門造設術を施行した.術後全身状態が改善せず55日目に敗血症性ショックとなり,66日目に死亡した.2例目は81歳,女性.1ヵ月前に紫斑,小脳出血を契機にITPと診断され,プレドニゾロン15mgによる維持療法中であった.突然の左下腹部痛を来たしたためCTを施行し腹腔内遊離ガスを認めた.緊急開腹術を施行したところS状結腸憩室穿孔を認め,S状結腸切除および人工肛門造設術を行った.術後経過は良好で,術後53日目に退院となった.上記3件は大腸憩室が穿孔の原因と考えられた.大腸憩室を伴う患者にステロイドを投与する際は十分な注意を要すると考えられた.
索引用語 大腸憩室穿孔, ステロイド