セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 7

タイトル 外P-674:

腹腔鏡補助下手術を行ったS状結腸膀胱瘻の2例

演者 小出 紀正(稲沢市民病院・外科)
共同演者 久納 孝夫(稲沢市民病院・外科), 尾上 重巳(稲沢市民病院・外科), 吉田 克嗣(稲沢市民病院・外科), 安藤 徹(稲沢市民病院・外科), 加藤 健司(稲沢市民病院・外科)
抄録 症例1は42歳,男性.既往歴に糖尿病,高血圧,高脂血症.現病歴は2009年11月半ばより下腹部の違和感があり,12月上旬排尿時痛と発熱を認め近医を受診した.膀胱炎の診断で抗生剤投与されたが改善なく,さらに気尿を認め,消化管膀胱瘻の疑いで当院泌尿器科を紹介受診した.来院時BMI42kg/m2であった.大腸内視鏡検査でS状結腸から口側に多発憩室を認めた.2010年1月上旬S状結腸膀胱瘻の疑いで外科を紹介受診した.肥満等併存疾患のため,保存的治療を行い,減量後の手術を予定した.膀胱カテーテル留置,絶食で軽快し,一旦退院したが,その後症状の再発を認め,体重が100kgの3月下旬手術を行った.腹腔鏡で観察するとS状結腸と膀胱頂部が瘻孔を形成していた.腹腔鏡補助下に癒着剥離とS状結腸を授動し,その後約20cmの下腹部正中切開で開腹し,膀胱部分切除術,S状結腸部分切除術を行った.膀胱は2層縫合で閉鎖し,消化管吻合は手縫いで行った.術後13日目に膀胱造影を行い,縫合不全がないことを確認し,膀胱カテーテルを抜去した.術後創感染を合併したが14日目に軽快退院した.症例2は61歳,男性.2013年1月中旬ごろ気尿に気付き,改善がなく近医受診し,消化管膀胱瘻と診断され1月下旬当院を紹介受診した.CTでS状結腸憩室膀胱瘻が疑われ,注腸検査で診断した.大腸内視鏡検査でS状結腸に多発憩室とポリープを認め,内視鏡切除を行ったところsm浸潤がであった.追加切除が必要であり,2月上旬腹腔鏡補助下S状結腸切除術を行った.術前に左尿管に尿管ステントを留置した.瘻孔は切除し,膀胱壁は腹腔鏡下に縫合した.消化管はダブルステープリングで吻合した.切除標本に癌の遺残,リンパ節転移はなかった.術後11日目に尿管ステントを抜去し,12日目に膀胱カテーテルを抜去した.その後経過は良好で術後14日目に軽快退院した.その後現在まで2例とも消化管膀胱瘻の再発は見られていない.S状結腸膀胱瘻に対して腹腔鏡補助下手術は安全に施行可能で,術式の選択の1つになりうると考えられた.
索引用語 S状結腸膀胱瘻, 腹腔鏡補助下手術