セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 8

タイトル 外P-680:

ストーマ脱に対する自動縫合器を用いた体外腸切除の経験

演者 黒瀬 洋平(福山市民病院・外科)
共同演者 井谷 史嗣(福山市民病院・外科), 中野 敢友(福山市民病院・外科), 淺海 信也(福山市民病院・外科), 河本 慧(福山市民病院・外科), 久保田 哲史(福山市民病院・外科), 日置 勝義(福山市民病院・外科), 久保 慎一郎(福山市民病院・外科), 野島 洋樹(福山市民病院・外科), 金 仁洙(福山市民病院・外科), 高倉 範尚(福山市民病院・外科)
抄録 【はじめに】ストーマ脱はストーマ造設の約15% に認めるとされる, 比較的頻度の高いストーマ関連合併症である. 脱出が高頻度でオストメイトのQOL低下につながる症例や, 嵌頓による循環障害をきたす症例では手術治療が選択される. 当院で施行したストーマ脱に対する自動縫合器を用いた体外腸切除の2症例につき報告する. 【症例1】68歳女性. S状結腸癌横行結腸双孔式人工肛門造設術術後8か月目に繰り返すストーマ脱に対して手術を施行した. 脱出腸管の肛門側は出血軽減を目的に脱出ストーマを腸鉗子で把持, 腸管壁内腔を確認する目的でサイザーをストーマ内に挿入, ストーマ腹壁固定部より約3cmの位置に電気メスにて自動縫合器の挿入孔を作成, 自動縫合器にて脱出腸管を切除した. 口側は脱出の程度が軽微であるため粘膜縫縮術を施行した. 術後5日目に退院, 術後4年が経過したが再発を認めない. 【症例2】86歳男性. 直腸癌S状結腸双孔式人工肛門造設術術後約2か月目に肛門側ストーマ脱による嵌頓を繰り返し, 症例1と同様の手技で腸管切除を施行, 術後3日目に退院, 術後1年が経過したが再発を認めない. 【考察】ストーマ脱に対する治療は各種のストーマ管理法による保存的治療や, 粘膜縫縮術や体外腸切除などの非開腹の方法, ストーマ再建や腸管固定術などの開腹法が報告されており, それぞれ一長一短があり治療法は確立していない. 一般的には全身状態と脱出腸管の長さにより治療法が選択されている. 今回の2症例では根治性の乏しい担癌患者であり, 脱出腸管は15cm以上であったため, 比較的侵襲の低く再発率の低いと思われる体外腸切除を選択した.無麻酔で施行可能で術後疼痛も認めないため, PSが低下した患者にも施行可能な簡便な方法と考える. 【結語】ストーマ脱に対する自動縫合器を用いた体外腸切除を2例施行し, 安全に施行可能であった. PSの低下したストーマ脱症例に対しても安全で簡便な手技と考え報告する.
索引用語 ストーマ脱, 自動縫合器