セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 8

タイトル 外P-681:

上行結腸の穿孔を来したchronic expanding hematomaの1例

演者 中崎 隆行(長崎原爆病院・外科)
共同演者 和田 英雄(長崎原爆病院・外科), 柴田 良仁(長崎原爆病院・外科), 谷口 英樹(長崎原爆病院・外科), 重松 和人(長崎原爆病院・病理)
抄録 chronic expanding hepatoma(慢性拡張性血腫)は, 手術や外傷を契機に生じた血腫が, 自然融解せずに徐々に増大し, あたかも悪性腫瘍の様に周囲の正常臓器の圧迫症状を呈する疾患で, 比較的まれとされている. 今回, 後腹膜の chronic expanding hematomaが上行結腸に穿孔を来し, 下血した症例を経験したので報告する. 症例は81歳, 女性. 既往歴として26年前, 23年前に他院にて大腸癌手術. その後の腸閉塞に対して, 小腸-横行結腸バイパス術の既往あり (いずれも詳細不明). H24年11月より下血あり, 当科受診. 腹部CT, MRI検査では, 右腎下極から, 外方に突出する8cm大の腫瘍が認められ, 上行結腸への浸潤が疑われた. 後腹膜の血管筋脂肪腫や chronic expanding hematomaが考えられた. 大腸内視鏡検査では, 肝彎曲部までしか, 観察できず出血源ははっきりしなかった. 注腸検査では, 上行結腸に4cm大の表面平滑な隆起性病変認められた. 下血は止まり, 本人の希望もあり, 経過観察としていたが, 25年1月, 再度下血し入院となった. 腹部造影CTでは, SMAから後腹膜腫瘤に向かう血管が同定され, 早期に辺縁から増強効果がみられ, 次第に内部に増強される部分が広がっていた. 上行結腸内腔に露出が疑われた. 2月に手術を施行した. 上行結腸背側の腫瘤とともに, 結腸右半切除を行った. 切除標本では上行結腸背側に70X50mmの腫瘤があり, 上行結腸粘膜面は20X10mmの穿孔がみられた. 病理所見では, 穿孔部には壊死, 肉芽形成がみられ連続して, 漿膜から後腹膜にかけて, フィブリンを伴う出血がみられ, 中心部には内皮細胞で被われた乳頭状構造がみられ, chronic expanding hematomaの像と考えられた.
索引用語 chronic expanding hepatoma, 大腸