セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 9

タイトル 外P-684:

潰瘍性大腸炎手術後に回腸人工肛門から出血した2症例

演者 細井 愛(新潟大・消化器・一般外科)
共同演者 亀山 仁史(新潟大・消化器・一般外科), 飯合 恒夫(新潟大・消化器・一般外科), 野上 仁(新潟大・消化器・一般外科), 中野 雅人(新潟大・消化器・一般外科), 岡村 拓磨(新潟大・消化器・一般外科), 佐藤 洋(新潟大・消化器・一般外科), 下田 傑(新潟大・消化器・一般外科), 橋本 喜文(新潟大・消化器・一般外科), 堀田 真之介(新潟大・消化器・一般外科), 味岡 洋一(新潟大・分子・診断病理学), 若井 俊文(新潟大・消化器・一般外科)
抄録 【緒言】 潰瘍性大腸炎(以下UC)に対する大腸全摘・回腸嚢肛門吻合(以下IAA)・回腸人工肛門造設後に,人工肛門から出血をきたした2例について報告する. 【症例1】10代男性.難治性のUCに対して大腸全摘・IAA・回腸人工肛門造設を行った.術前にプレドニゾロン25mg/日を内服していた.病理診断はUC全大腸炎型でbackwash ileitisは認めなかった.術後7日目にMRSA腸炎を合併し,バンコマイシン(以下VCM)で改善した.術後13日目に人工肛門から下血した.上部内視鏡検査では出血源なく,小腸内視鏡は施行していない.禁食とヒドロコルチゾン継続投与で軽快し術後29日目に退院した.【症例2】20代男性.難治性のUCに対し大腸全摘・IAA・回腸人工肛門造設を行った.術前はインフリキシマブ,アザチオプリンを投与中でありプレドニゾロン内服は行っていなかった.病理診断はUC左側大腸炎型でbackwash ileitisは認めなかった.術後3日目にMRSA腸炎を合併しVCMにより軽快したが術後10日目に再度腸炎症状が出現した.VCM,各種抗菌薬,抗真菌薬でも改善なく,術後21日目よりヒドロコルチゾンを開始後速やかに軽快した.術後30日目より人工肛門から下血が出現し継続した.1週間後の小腸内視鏡検査では人工肛門すぐ口側の回腸に多発潰瘍を認め,すでに軽快傾向となっていた.介在部の粘膜は正常であり,UCの小腸病変よりも感染症を疑う所見であった.同部の組織診では非特異的な炎症性変化を認めた.サイトメガロ抗原は陰性であった.水溶性プレドニンを継続し保存的に軽快し術後72日目に退院した.【考察】 UC術後の小腸人工肛門からの出血の原因は,UCの上部消化管病変や小腸病変,backwash ileitis,あるいはサイトメガロ感染の報告が主である.これらを踏まえ,人工肛門から出血した2例につき報告する.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 小腸出血