セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 9

タイトル 外P-686:

腸重積症を発症し,保存的に軽快した成人Schoenlein-Henoch紫斑病の1例

演者 田代 良彦(順天堂大・下部消化管外科)
共同演者 青木 順(順天堂大・下部消化管外科), 水越 幸輔(順天堂大・下部消化管外科), 岡澤 裕(順天堂大・下部消化管外科), 高橋 里奈(順天堂大・下部消化管外科), 河合 雅也(順天堂大・下部消化管外科), 宗像 慎也(順天堂大・下部消化管外科), 嵩原 一裕(順天堂大・下部消化管外科), 丹羽 浩一郎(順天堂大・下部消化管外科), 永易 希一(順天堂大・下部消化管外科), 石山 隼(順天堂大・下部消化管外科), 杉本 起一(順天堂大・下部消化管外科), 神山 博彦(順天堂大・下部消化管外科), 秦 政輝(順天堂大・下部消化管外科), 柳沼 行宏(順天堂大・下部消化管外科), 高橋 玄(順天堂大・下部消化管外科), 小島 豊(順天堂大・下部消化管外科), 五藤 倫敏(順天堂大・下部消化管外科), 冨木 裕一(順天堂大・下部消化管外科), 坂本 一博(順天堂大・下部消化管外科)
抄録 【はじめに】Schoenlein-Henoch紫斑病(以下,SHP)は,皮膚症状,関節痛,腎症状,消化器症状を合併する疾患で,主に小児に好発し成人には稀である.腸重積症で発症し,保存的に軽快した成人SHPの症例を報告する.【症例】患者は40代,男性で,既往歴は急性虫垂炎.2012年10月から四肢の紫斑の出現と消失を繰り返し認めていたが,医療機関には受診せず自己判断で経過観察としていた.今回,腹痛を主訴に,2012年11月に当科を受診した.身体所見では,右下腹部痛と下腿に紫斑の散在を認めた.腹部CT検査で回盲部に腸重積を認め,緊急入院となった.注腸整復を試みるが不完全に終わり,また,その際に上行結腸に蟹の爪サインを認めた.第2病日に施行した下部消化管内視鏡検査では,上行結腸内に先進部が暗赤色に変色した浮腫状の腸管粘膜を認めた.下腿の紫斑,腹部症状および腸管粘膜の浮腫からSHPが最も疑われた.再発した腸重積を送気で整復後,回腸内にスコープを挿入したが,腸重積となりうる病変は認められなかった.以上より,浮腫化した盲腸粘膜を先進部とした腸重積と診断した.明らかな腸管の血流障害がないことから,保存的治療で経過観察とした.第3病日より腹痛は徐々に軽減し,下腿の紫斑も徐々に消褪した.第6病日に再び大腸内視鏡検査を施行し,盲腸粘膜の浮腫と腸重積を認めなかったため,第7病日に退院となった.退院後,確定診断目的で,残存していた紫斑部位の皮膚生検を施行した.生検では免疫組織化学染色でIgA陽性となり,SHPの確定診断となった.【まとめ】成人のSHPで腸重積を発症することは少なく,保存的に軽快した貴重な症例を経験したので報告する.
索引用語 Schoenlein-Henoch紫斑病, 腸重積