セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-症例 1

タイトル 外P-689:

肛門部痛・排便時痛を伴った腹腔内遊離体に対して単孔式腹腔鏡下手術を行った1例

演者 岩城 堅太郎(大分赤十字病院・外科)
共同演者 木下 忠彦(大分赤十字病院・外科), 小川 雄大(大分赤十字病院・外科), 森田 和豊(大分赤十字病院・外科), 中家 亮一(大分赤十字病院・外科), 實藤 健作(大分赤十字病院・外科), 甲斐 成一郎(大分赤十字病院・外科), 福澤 謙吾(大分赤十字病院・外科), 江口 博(大分赤十字病院・外科), 本廣 昭(大分赤十字病院・外科), 若杉 健三(大分赤十字病院・外科)
抄録 【はじめに】腹腔内遊離体は腹腔ねずみとも呼ばれ,通常は臨床症状を有さず開腹手術の際に偶然発見されることが多い.【症例】71歳女性.身長148cm,体重52kg.50歳代より腰痛,肛門部痛,排便時痛あるも,原因不明とされてきた.特に便秘時には症状が強くなるため,常時下剤を過剰に服用し,泥状便になるように自己コントロールを行っていた.前医でのCT検査にて小骨盤内直腸右側に4cm大の石灰化結節を認め腹腔内遊離体が疑われた.下部内視鏡検査にて異常所見なく,肛門部痛の原因として腹腔内遊離体が疑われ当科へ紹介となった.骨盤CT, MRI検査では,小骨盤内を移動する4cm大と1.5cm大の石灰化結節を認めた.婦人科疾患や脊椎疾患を有さず,腹腔内遊離体以外に肛門部痛・排便時痛の原因となる疾患を認めず,手術を行うこととした.手術は,臍部にSILS portを留置し単孔式腹腔鏡下手術を行った.骨盤内を観察したところ,乳白色の腹腔内遊離体を認め,腹膜翻転部直上にて直腸を圧排していた.ビニールバックに腹腔内遊離体を収納し,臍部の創を横切開にて拡大して摘出した.創は臍ヘルニア修復術と同様に腹直筋後鞘,前鞘をそれぞれ縫合閉鎖し,真皮埋没縫合で閉鎖して手術を終了した.手術直後より肛門部痛は消失し,排便時痛も認めず,過剰な下剤内服を必要としなくなり,合併症なく術後8日目に退院した.【考察】本疾患は通常無症状であるが,腹腔内遊離体が大きな症例では腹痛やイレウスなどの症状を有することがあり,手術適応となる場合がある.また,無症状でも腫瘍性病変との鑑別が困難な場合には手術適応となる.【結語】肛門部痛・排便時痛を伴った腹腔内遊離体に対して単孔式腹腔鏡下手術を行い,症状が劇的に改善した.腹腔内遊離体の摘出は,単孔式腹腔鏡手術にて安全に施行可能であり,さらに,臍の形態に合わせた横切開を行うことにより整容性に優れた術式であった.
索引用語 腹腔内遊離体, 腹腔鏡手術