セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
その他-症例 1
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タイトル |
外P-690:タッカーの金属製ステイプルが原因と考えられた腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア手術後メッシュ感染の1例
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演者 |
貝羽 義浩(公立刈田綜合病院) |
共同演者 |
大橋 洋一(公立刈田綜合病院), 佐藤 馨(公立刈田綜合病院), 佐藤 博子(公立刈田綜合病院), 櫻井 直(公立刈田綜合病院), 阿部 立也(公立刈田綜合病院) |
抄録 |
【はじめに】我々はこれまで腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア根治術において,メッシュ固定の際,金属製ステイプルのタッカーを用いてきた.しかし,腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア根治術の約2年後にメッシュ感染による腹壁膿瘍となった症例を経験し,タッカーの金属製ステイプルがその原因となったと考えられたので報告する.【症例】80歳,男性.既往にCOPD.腹部大動脈瘤手術の約4か月後に,腹壁瘢痕ヘルニアとなり,コンポジックスメッシュをタッカー金属製ステイプルで固定する腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア根治術を施行した.その2年2か月後,腹部の発赤,発熱出現し,当科外来受診.精査にてメッシュ感染による腹壁膿瘍の診断で,入院した.ドレナージ後の造影では,膿瘍は小腸と交通していた.開腹すると,小腸がタッカーの金属製ステイプルに強く癒着しており,その腹壁側に膿瘍が存在した.癒着を剥離すると,タッカー金属製ステイプルが腸管内に穿通していた.メッシュ,膿瘍腔,癒着腸管を切除し,腸管を再建した後,ワイヤーを用いた全層1層縫合にて閉腹した.術後は創感染を認めたが,軽快し退院となった.【考察】腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア根治術において,タッカーの金属製ステイプルが原因となったメッシュ感染は,我々が検索しえた範囲では,これまで報告がない.本症例は,COPDを合併し,頻繁に咳がでており,術後タッカーの金属製ステイプルと腸管が擦れて炎症を生じ,癒着後穿通したことが考えられた.本症例はタッカーの金属製ステイプルによるまれな合併症ではあるが,今後はメッシュの固定には吸収性ステイプルのタッカーの使用が望ましいと考えられた.【結語】タッカーの金属製ステイプルが原因と考えられた腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア手術後メッシュ感染の1例を経験したので報告した. |
索引用語 |
腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア手術, メッシュ感染 |