セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-症例 1

タイトル 外P-691:

右結腸動脈瘤破裂による腸間膜血腫の1手術例

演者 北野 義徳(近畿大堺病院・外科)
共同演者 酒井 健一(近畿大堺病院・外科), 船井 貞往(近畿大堺病院・外科), 田中 晃(近畿大堺病院・外科)
抄録 腸間膜血腫の大部分は腹部外傷によるものであり,非外傷性腸間膜血腫は稀である.その成因として内臓動脈瘤破裂,出血性疾患,医原性,特発性などが知られている.今回われわれは右結腸動脈瘤破裂による腸間膜血腫の1手術例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は64歳,男性.腹痛,貧血の精査目的にて当院紹介となり,腹部造影CT検査で腸間膜血腫と診断された.当科受診時には腹痛は消失しており,貧血の進行がないこと,CT上血管外漏出を認めないことより保存的治療の方針とした.保存的治療開始後7日目に腹痛の再燃およびCTで血腫の増大傾向を認めたため手術の方針となった.結腸間膜に成人手拳大の血腫を認め,血腫除去を行うも責任病変の同定はできなかった.止血が得られていること,腸管血流異常を認めないことから血腫ドレナージのみで手術を終了した.術後3D-CT angiographyを行ったところ,上腸間膜動脈の途絶および右結腸動脈瘤を認め,右結腸動脈瘤破裂による腸間膜血腫と診断した.血管内治療を前提に腹部血管造影検査を行ったところ,上腸間膜動脈は右結腸動脈分岐直後で完全閉塞になっており,空腸枝や右結腸動脈の辺縁動脈を介しての側副路で遠位の血流が保たれていることが判明した.動脈瘤の塞栓で腸管虚血の可能性が高いため,動脈瘤を含めた結腸切除術を施行した.病理は仮性動脈瘤の所見であった.非外傷性の腸間膜血腫の原因として動脈瘤破裂も念頭におき,可能な限り血管造影を行うべきと考えられた.
索引用語 腸間膜血腫, 結腸動脈瘤破裂