セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-症例 2

タイトル 外P-694:

胆嚢梗塞を来した腹腔動脈解離の1例

演者 近藤 昭信(済生会松阪総合病院・外科)
共同演者 増田 穂高(済生会松阪総合病院・外科), 市川 健(済生会松阪総合病院・外科), 河埜 道夫(済生会松阪総合病院・外科), 田中 穣(済生会松阪総合病院・外科), 長沼 達史(済生会松阪総合病院・外科)
抄録 【症例】53歳,男性.【主訴】上腹部痛.【現病歴】2013年1月夜間に特に誘因なく上腹部違和感を自覚し,徐々に疼痛が出現し改善しないため当院に救急搬送された.【身体所見】血圧143/96mmHg,脈拍76/分.体温36.4℃.右上腹部に圧痛を認めた.【既往歴】特記事項なし.【家族歴】特記事項なし.【血液検査所見】WBC11000,CRP1.4と軽度の炎症反応上昇を認めた.【画像所見】US:胆嚢に壁肥厚があるも,胆嚢壁に血流上昇は認めなかった.CT:腹腔動脈から固有肝動脈にかけて径の軽度の拡大とplainでの軽度の濃度上昇,CEでの内腔の不整な造影効果を認めた.胆嚢は腫大,壁肥厚を認め,胆嚢管から頸部を除いて胆嚢は造影不良であり,腹腔動脈解離に伴う胆嚢梗塞疑いと診断され当院入院.上腹部痛は入院後改善傾向あり,翌日のCTにて腹腔動脈解離の進行は認めなかったため,腹腔鏡下胆摘を施行.胆嚢全体に壊死を認めた.術後腹痛は改善するも,術後4日目の造影CTにて腹腔動脈に増大傾向を認める仮性動脈瘤があり,術後12日目に他院転院し,腹腔動脈にステントを留置し翌日退院となった.その後のCTでも仮性動脈瘤の再燃は認めていない.【考察】腹腔動脈などの腹部内臓動脈解離は,大動脈解離に伴う場合やカテーテル検査・治療に伴う医原性の合併症として発症する場合が多く,特発性腹部内臓動脈解離を認めることは極めて稀であるも近年の画像診断の発達に伴い,その報告数は増加傾向にある.臓器虚血のない場合や,破裂・切迫破裂がなければ保存的治療が第一選択となるも,本症例のように臓器虚血を認める症例では外科的治療が必要と考えられる.【結語】今回我々は胆嚢梗塞を来した特発性腹腔動脈解離に対して腹腔鏡下胆摘を行い,さらに仮性動脈瘤に対してステント治療を行った1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
索引用語 腹腔動脈解離, 胆嚢梗塞