セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-チーム医療・緩和 ・その他

タイトル 外P-702:

老人保健施設関連の外科治療 -腹部手術症例を中心に-

演者 竹石 利之(新潟県立加茂病院・外科)
共同演者
抄録 【目的】当院は新潟県県央地域に位置し,人口4万3千人を医療圏とする地方病院である.当院の医療圏における老人保健施設は9施設(363床)であり,各施設と連帯し施設入所者の医療を担っている.当院での老人保健施設関連の外科治療(手術症例)の現状と課題を検討した.【対象】2010年1月から2012年12月までに当院で施行された手術施行は494例であり,うち老人保健施設入所者の外科手術21例(4.3%,男性11例,女性10例,平均年齢84.3歳)を対象とした.対象症例中,認知症を有する症例16例(76.2%),寝たきり症例14例(66.7%)だった.【成績】対象の手術疾患は,大腸・直腸癌5例,腸閉塞2例,乳癌1例,虫垂炎1例,腸ろう造設3例,鼡径ヘルニア3例,痔核手術1例,褥瘡手術3例,点滴ポート皮下埋め込み2例だった.麻酔法は,全身麻酔8例(うち緊急手術5例),ラリンギアルマスク6例,腰椎麻酔1例,局所麻酔7例だった.全身麻酔およびラリンギアルマスク症例の計14例の手術時間:23~118(平均62.3分), 麻酔時間:48~168(平均99.9分),手術終了~抜管までの麻酔覚醒に要した時間:10~40(平均20.1分)だった.全身麻酔症例のうち1例は,麻酔覚醒が不十分であり術後に人工呼吸器管理を行った.21例中18例が治癒退院され,術後在院期間は,14~78(平均33.4日)だった.在院死亡例は,癌死1例,老衰2例の3例だった.緊急手術症例5例は,腸管穿孔(癌性腹膜炎)2例,絞扼性腸閉塞2例,直腸癌1例であり,うち3例は進行癌に起因した症例だった.全身麻酔術後の看護装具では,装具なし4例,手にグローブ装着3例,手の抑制1例が行われ,点滴チューブ及びドレーンのトラブルはなかった.【結語】1.老人保健施設関連の外科症例は,疾患が多岐にわたり,高齢で認知症・寝たきり状態の症例が多い.手術症例には,術前全身状態の十分な把握,適切な麻酔法の選択,手術の工夫・時間短縮が重要である.2.病状が進行した緊急症例も存在し,老人保健施設との密な連係により,スムーズに治療へと移行する必要がある.
索引用語 外科手術, 老人保健施設