セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-ヘルニア 1

タイトル 外P-712:

当科における鼡径ヘルニア根治術-正中Kugel法について

演者 寺境 宏介(八千代病院・外科)
共同演者 杢野 泰司(八千代病院・外科), 小林 一郎(八千代病院・外科), 松原 秀雄(八千代病院・外科), 酒徳 弥生(八千代病院・外科), 渡邊 学(八千代病院・外科), 冨永 健太(八千代病院・外科), 村田 悠記(八千代病院・外科), 弥政 晋輔(八千代病院・外科)
抄録 【目的】鼡径ヘルニア根治術にも鏡視下手術が取り入れられ,侵襲の少ない術式が選択されつつある.当科では2011年より下腹部正中の小切開創からpreperitoneal approachにてKugel patchを留置する術式(以下正中Kugel法)を施行している.本法は従来の鼡径法と比べて,鼡径部の神経に触れないために術後疼痛が少ないことと,両側ヘルニア時皮切が1箇所で気可能であることなどが期待できる.【方法】正中Kugel法と他のヘルニア手術の術中術後経過等を比較検討した.正中Kugel法:約4cmの下腹部正中創より腹膜前腔に到達,Parietalizationを行い,腹膜から立ち上がるヘルニア嚢を結紮切離し,内鼡径輪・外鼡径輪を覆うようにKugel patchを留置し固定する.【成績】2010年1月1日から2012年11月31日までに当院にて施行したmeshを用いた鼡径ヘルニア根治術183例について検討した.除外症例19例を除いた164例のうち,正中Kugel法92例(56.0%),mesh-plug法49例(29.9%),鼡径Direct Kugel法20例(12.1%)であった.正中Kugel法と他の術式の背景因子を比較すると,正中Kugel法で平均年齢が若かったが(61.2-66.5歳;p=0.026),性別・鼡径ヘルニアの左右差・ヘルニアの種類・既往歴の有無は有意差を認めなかった.手術時間・出血量・入院日数・SSI・再発率は両群間で有意差を認めなかったが,術後に鎮痛薬の使用が有意に少なかった(p=0.003).正中Kugel法の手術時間は平均72分であったが,開始10例目までが91分であったのに対し最新10件は50.5分と,learning curveを認め,さらなる短縮が期待できると考えられた.【結論】正中Kugel法は従来の鼡径法と比較して,再発率や手術時間など有意差を認めず,遜色ない結果であっただけでなく,後鎮疼痛が軽度であった.両側手術においては1ヶ所の皮切で試行可能である.同術式は導入したばかりであり,今後も手術時間の短縮が見込まれる.これらの結果より鼡径ヘルニア根治術に有用な術式と考えられた.
索引用語 鼡径ヘルニア, クーゲル法