セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-ヘルニア 1

タイトル 外P-715:

右季肋部に生じた腹壁ヘルニアの1例

演者 向井 正一朗(国立広島西医療センター)
共同演者 嶋谷 邦彦(国立広島西医療センター), 徳永 真和(国立広島西医療センター), 伊関 正彦(国立広島西医療センター)
抄録 症例は89歳,女性.腹痛と嘔吐を主訴に近医を受診.腹部手術歴は特にない.CTにて右季肋部腹壁に小腸が嵌頓しており,腹壁ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断され,イレウス管を留置し保存的加療を行われた.イレウス管排液も多く,保存的には軽快しえないと判断され加療目的に当科紹介受診となった.右季肋部に鶏卵大の腫瘤を触知し,軽度の圧痛を認めた.CTでは腹直筋後鞘の裂隙をヘルニア門として小腸が嵌頓しており少量の腹水も認めた.腹壁ヘルニア・小腸嵌頓と診断し,用手的に還納を試みたが疼痛もあり困難であった.血液検査・全身状態からは腸管虚血・壊死を疑う所見はないが,外科的な嵌頓解除が必要と判断し手術を施行した.ヘルニアの直上で皮膚・皮下組織・腹直筋前鞘を切開し,腹直筋をよけヘルニア嚢に到達.ヘルニア嚢を開けて腸管の嵌頓を解除した.嵌頓腸管の色調は問題なかったが,絞扼されていた部分が瘢痕化して狭窄を来しており切除の適応と判断し小腸部分切除術を施行した.ヘルニア門は約3cm程度であった.ヘルニア門の閉鎖にメッシュの使用も考慮したが,腸管切除も併施しており感染の危険性を考え使用しなかった.術後は特に問題なく経過し術後16日目に退院した.退院後もヘルニア再発は認めていない.腹直筋後鞘の裂孔をヘルニア門とする腹壁ヘルニアは非常に稀であり,文献的報告も極めて少ない.今回我々は右季肋部の腹直筋後鞘から生じた腹壁ヘルニアの1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 腹壁ヘルニア, イレウス