セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-ヘルニア 2

タイトル 外P-716:

Myopectineal orificeにおける横筋筋膜の観察

演者 朝蔭 直樹(津田沼中央総合病院・外科)
共同演者
抄録 骨盤内臓側筋膜層構造を理解する上で腹膜・横筋筋膜の間隙である腹膜外腔の概念は重要である.腹膜は中皮細胞層と中皮下層で構成される明らかな膜構造で腹膜外腔の明快な規定因子であるが,横筋筋膜は疎性結合組織層のようにも観察され腹膜ほど組織構成が明瞭ではない印象がある.鼠径ヘルニア手術を行う際,進入経路の解剖特性上TEPあるいは前方アプローチ法はTAPPに比べ横筋筋膜の存在をより強く認識する必要がある.横筋筋膜は腹横筋の筋膜といった局所的な構造というだけではなく,横隔膜下に連なる広く体壁筋を裏打ちしている膜構造と考えられている.従って横筋筋膜は腹膜外腔という概念を理解する上で重要な鍵と言える.TEPにおいて2型ヘルニア解除時に見られるように,pseudosacとなる横筋筋膜は比較的厚い膜様構造と観察できるが,下腹壁動静脈より外側では希薄化しているように見える.TEPの進入経路,特にMyopectineal orificeにおける横筋筋膜の性状を観察すると,比較的しっかりした膜様構造と観察されるのは腹直筋外縁・下腹壁動静脈間のいわゆるHesselbach三角の領域で,腹横筋腱膜線維が混入するためとされている.横筋筋膜は一層の細胞層を持つ腹膜のような組織構造ではなく,また無構造の均一な膜でもなく密な疎性結合組織層と考えられる.
索引用語 横筋筋膜, 腹膜外腔