セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-ヘルニア 2

タイトル 外P-719:

鼠径部・骨盤部ヘルニア嵌頓症例の診断と治療

演者 秦 史壯(札幌道都病院・外科)
共同演者 西森 英史(札幌道都病院・外科), 池田 慎一郎(札幌道都病院・外科), 秋山 守文(札幌道都病院・外科), 山田 真美(札幌道都病院・外科), 平間 知美(札幌道都病院・外科), 矢嶋 知巳(札幌道都病院・外科)
抄録 はじめに:緊急手術となる鼠径部・骨盤部ヘルニアの大半がヘルニア門へ小腸が嵌頓することによって惹起される腸閉塞症である.今回,ヘルニア嵌頓症例の診断と治療法について考察した.対象:2008 年1月から2013年2月までに経験した鼠径部・骨盤部ヘルニア161例.そのうち両側ヘルニアが22例でヘルニアは183箇所(延べ183例),内訳は外鼠径ヘルニア109例,内鼠径ヘルニア56例,大腿ヘルニア12例,閉鎖孔ヘルニア6例であった.そのうちヘルニア嵌頓で緊急手術となった17例が対象.内訳は大腿ヘルニア7例,閉鎖孔ヘルニア3例,鼠径ヘルニア7例(成人6例,小児1例).17例中5例は感染などのリスクを回避するため2期的根治手術を考慮した用手的還納などの応急処置的手術が行なわれた. 結果:全例が腹痛,腸閉塞症状で受診した.血液生化学所見で白血球,CRPのどちらかに異常を認めたのは10例(10/17 58.9%).腹部単純X-Pで異常所見のあったのは17例100%.身体的所見でヘルニア嵌頓の診断が確定した例は閉鎖孔ヘルニア以外の14例.閉鎖孔ヘルニアに関してはCT所見が確定診断となった.術式の選択は血液生化学所見と造影CT,超音波Power Doppler Imagingを参考にした.術式は大腿輪縫縮術1例,用手的還納6例(小児鼠径ヘルニア1例を含む),開腹ヘルニア修復術2例,Kugel法8例で結果的には腸管穿孔例はなかった.結語:腸閉塞例は比較的頻度の高い鼠径部ヘルニアを念頭におき鼠径部の観察を怠ってはならない.鼠径部に身体的所見を認めない場合は閉鎖孔ヘルニアも疑って,腹部から骨盤腔内のCT検査を行なう.ヘルニア嵌頓が確認されたら造影CTあるいは超音波Power Doppler Imagingを行ない腸管の虚血状態を評価し,適切な術式を決定するように努めるべきと考える.
索引用語 鼠径部・骨盤部ヘルニア, ヘルニア嵌頓