セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
その他-ヘルニア 3
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タイトル |
外P-721:当科における閉鎖孔ヘルニア16例の検討 -嵌頓腸管壁のCT値測定による腸管切除予測-
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演者 |
田澤 賢一(糸魚川総合病院・外科) |
共同演者 |
河合 俊輔(糸魚川総合病院・外科), 土屋 康紀(糸魚川総合病院・外科), 山岸 文範(糸魚川総合病院・外科), 嶋田 裕(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 塚田 一博(富山大・消化器・腫瘍・総合外科) |
抄録 |
【目的】地域の高齢化率の上昇により,当院の閉鎖孔ヘルニア症例は増加している.今回,同疾患群の特性の明確化を研究目的とした.【対象,結果】過去12年間に経験した閉鎖孔ヘルニアは15例(17病変)で,臨床病理学的に検討した.【結果】平均年齢は81.2歳,全例が女性で,発生部位は,右8例,左5例,両側2例(同時:1例,異時:1例,片側再発1例あり)であった.術前の平均BMI値は16.9と極めて低値で,平均出産回数は2.7回,先行する開腹歴は2例(13.3%)と少なかった.症状として,嘔気嘔吐が68.8%(11/16),Howship-Romberg徴候が31.3%(5/16)にみられ,病悩期間は平均3.4日であった.腹部CT検査は全例で施行され,全例で術前診断が可能であった.同世代(他疾患手術例)の女性に比較し,内外閉鎖筋の萎縮,菲薄化を認め,閉鎖孔の開大を示唆する所見であった.手術の詳細では,麻酔は全身麻酔15例,硬膜外麻酔1例で,術式はヘルニア門一次閉鎖7例,メッシュ挿入8例(PHS:4例,ポリソフト:2例,メッシュシート:2例),未閉鎖1例であった.小腸切除術は7例で施行された.小腸切除群(n=7)と非切除群(n=9)を比較すると,小腸切除群で高齢,収縮期血圧低値,CRP高値,術中出血量が多めという傾向を示し,拡張した嵌頓腸管壁のCT値(CT-dil)が低下する傾向を認めた.加えて,嵌頓腸管起始部CT値(CT-bas)との比(CT-dil/CT-bas)を算出すると,小腸切除群で,0.7以下となる症例が多かった(有意差なし).術後合併症は7例に認め,術後平均在院期間は22.1日,他疾患での死亡1例を除き,14例が存命中であった.【結論】開腹歴のないやせた高齢女性の腸閉塞症例では,閉鎖孔ヘルニアを常に念頭におき,画像検査も躊躇なく行うべきである.嵌頓腸管壁のCT値測定により,術前腸管切除の有無を推定する一助になる可能性がある. |
索引用語 |
閉鎖孔ヘルニア, CT値 |