セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-ヘルニア 3

タイトル 外P-724:

術前診断し単孔式腹腔鏡手術を施行した子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例

演者 新井 周華(千葉市立海浜病院・外科DELIMITER千葉市立青葉病院)
共同演者 塩原 正之(千葉市立海浜病院・外科DELIMITER千葉市立青葉病院), 吉岡 茂(千葉市立海浜病院・外科), 若月 一雄(千葉市立海浜病院・外科), 片岡 雅章(千葉市立海浜病院・外科), 外岡 亨(千葉市立海浜病院・外科), 宮澤 康太郎(千葉市立海浜病院・外科), 仲田 慎一郎(千葉市立海浜病院・外科), 太枝 良夫(千葉市立海浜病院・外科)
抄録 【諸言】内ヘルニアは後腹膜にある生理的な窪みに臓器が陥入する後腹膜ヘルニアと,腸間膜・大網等にある異常裂孔を通じる異常裂孔ヘルニアとに大きく2つに分類される.子宮広間膜裂孔ヘルニアは後者に属し内ヘルニア全体の約4~5%を占めるにすぎない非常に稀な疾患である.【症例】47歳,女性,主訴は腹痛,平成23年11月下旬より腹痛出現し12月に近医受診,腸閉塞の診断で当院内科紹介受診となる.腹部単純X線検査にて鏡面像を認め同日イレウス挿入し入院となる.小腸造影検査所見では左下腹部骨盤内に小腸の狭窄像を認めた.腹部造影CT所見では左子宮円索と思われる索状物の近傍で小腸間膜の収束像を認め,その尾側背側のダグラス窩に拡張した小腸ループを認めた.子宮は右・腹側方向へ,直腸を右方向へ圧排している像を認めた.また,この小腸ループの口側小腸の拡張と肛門側小腸の虚脱を認めた.以上より左子宮広間膜裂孔ヘルニアの診断となった.イレウス管による保存的治療により症状軽快し第15病日に退院,その後外来にて十分なインフォームドコンセントを得たうえで手術目的にて平成24年1月に入院となった.手術は単孔式腹腔鏡下手術を施行した.左子宮広間膜に径約3cm大の裂孔で広間膜の全層を貫くfenestra typeであった.陥入していた小腸は約15cm程度で小腸の血流良好,蠕動良好であり切除は必要なかった.裂孔は3-0吸収糸で連続縫合閉鎖し手術終了した.手術時間は98分,出血量は少量であった.術後経過良好で術後4日目に退院となった.【考察】子宮広間膜裂孔ヘルニアに対して腹腔鏡下に手術した症例は検索した範囲では過去75例中23例に腹腔鏡手術が行われそのうち完遂し得たのは22例(95%)であった.十分な減圧後に待機的に施行すれば単孔式腹腔鏡下手術でも安全に施行できるものと思われた.【まとめ】子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
索引用語 子宮広間膜裂孔ヘルニア, 単孔式腹腔鏡手術