セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-ヘルニア 3

タイトル 外P-725:

再発ゼロをめざすTAPP~的確な位置でのメッシュ挿入・固定

演者 鶴間 哲弘(JR札幌病院・外科)
共同演者 永山 稔(JR札幌病院・外科), 岩山 祐司(JR札幌病院・外科), 中野 正一郎(JR札幌病院・外科)
抄録 鼠径ヘルニアの手術術式としては前方アプローチと腹腔鏡手術によるTAPP,TEPPがある.いずれの術式においても再発を生じないために重要なことの一つとしては,大腿輪,Hesselbach三角,外側三角のソ径部後壁の脆弱部をメッシュにて確実に覆うことである.再発症例をみると,メッシュの挿入部位のずれ,腹膜前腔で十分メッシュが伸展されていないままの挿入・固定,併存ヘルニアの見落としなどによって生じていることが多く,再発の多くは手術手技的問題と言っても過言ではないと思われる.我々は,2009年4月よりTAPPを導入し,基本的にはTAPPを第一選択術式としている.これまで112症例を経験し再発は1例も認めていない.メッシュはTiLENE lightを使用し,臍部12mmポート,両側腹部に5mmポートにて手術を施行している.TAPPにおいて重要なことは,十分な腹膜前腔の剥離と的確な位置でのメッシュ固定と考えている.腹膜前腔の剥離は,腹側は腹直筋外縁を確認し横筋腱膜弓まで,背側は十分な壁側化が重要であり,この範囲での十分な剥離がスムーズなメッシュ挿入を可能にし,結果的に手術時間の短縮化と直結する.メッシュの挿入に際しては,まず腹膜前腔の内側側へ挿入し,次に腹側でメッシュの固定位置を決定する.メッシュの上縁が剥離した腹膜前腔の上縁とほぼ一致する位置で,かつ,ヘルニア門とメッシュ縁のマージンが十分確保可能な位置を固定位置としタッキング固定している.最初に,メッシュの上縁位置を決定することが的確な位置へのメッシュ固定に重要と思われる.また,TiLENEメッシュはチタンの親水性に伴い操作性にすぐれており,非常に扱いやすいと思われ,本発表では,TiLENEメッシュによる挿入のコツについても供覧する.
索引用語 鼠径ヘルニア, TAPP