セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-症例 3

タイトル 外P-727:

出血部位の同定が困難であった特発性腹腔内出血の1例

演者 外岡 亨(千葉市立海浜病院・外科)
共同演者 吉岡 茂(千葉市立海浜病院・外科), 塩原 正之(千葉市立海浜病院・外科), 若月 一雄(千葉市立海浜病院・外科), 片岡 雅章(千葉市立海浜病院・外科), 新井 周華(千葉市立海浜病院・外科), 宮澤 康太郎(千葉市立海浜病院・外科), 仲田 真一郎(千葉市立海浜病院・外科), 太枝 良夫(千葉市立海浜病院・外科)
抄録 【はじめに】特発性腹腔内出血とは,出血源あるいは出血原因が不明である腹腔内出血を指す.しかし,当初出血源が不明でも血管造影検査や術中所見により出血源の同定が可能な症例も存在する.外傷歴はなく出血素因も有さず,術中所見にても出血源の同定が困難であった特発性腹腔内出血の1例を経験したので報告する.【症例】30代,男性.外傷歴や手術歴など,特記すべき既往歴はなかった.腹痛と嘔吐を主訴に近医受診し,白血球数の増加と腹水を指摘され,他院受診指示されたが帰宅されていた.半日経過後,腹痛増強し当科救急搬送された.腹部単純CTにて,腹腔全体に腹水の貯留を認め,脾周囲には腹水以外にhigh density fluidの貯留を認めた.網嚢内と思われる胃横行結腸間には,血腫を示唆する7cm大のiso~high densityの貯留物を認めた.腹腔内出血の診断にて,出血状況の確認と止血が必要と判断し緊急手術を施行した.上腹部正中切開にて開腹すると,腹腔内に血性の強い腹水が計850ml貯留していた.網嚢内に血腫貯留が透見され,網嚢を解放し手拳大の血腫を除去した.出血源検索のため周辺臓器を確認するも,明らかな出血箇所や臓器損傷を認めなかった.左胃大網動静脈が露出しており凝血塊の付着を認めたため,出血源の可能性あり同部を結紮止血した.腹腔内を洗浄し,止血を十分に確認した後,左右横隔膜下と網嚢腔にドレーンを留置した.術後,ドレーンからの遅発性出血は認めず,経過良好にて第12病日に退院となった.退院前に上部消化管内視鏡を施行したが,軽度の胃炎のみで有意所見は認めなかった.退院後,腹部造影3D angio CTを施行し,出血源となりうる動脈瘤や血管変異を検索したが認めなかった.【結語】術中所見にても出血源の同定が困難であった特発性腹腔内出血の1例を経験した.出血が疑われた部位を止血し術後経過も良好で,血腫除去も回復促進に寄与したと考えられ,緊急開腹手術は妥当であったと考えられた.
索引用語 特発性腹腔内出血, 出血源