セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-症例 3

タイトル 外P-729:

腹腔鏡下に手術を施行した後腹膜脂肪腫による腸閉塞の1例

演者 遠藤 裕一(天心堂へつぎ病院)
共同演者 安田 一弘(天心堂へつぎ病院), 林 良彦(天心堂へつぎ病院), 麻生 哲郎(天心堂へつぎ病院), 川上 克彦(天心堂へつぎ病院)
抄録 【はじめに】後腹膜脂肪腫は後腹膜腫瘍の1.8~3.6%の発生率とされる比較的まれな疾患である.今回我々は,後腹膜脂肪腫より発生したバンドにより,腸閉塞をきたした症例を経験し,極めて稀な症例であると考えられたので報告する.【症例】80歳代男性.開腹歴なし.腹痛・嘔吐を主訴に当院に紹介された.腹部CTにて上部小腸を中心とした拡張を認めたが,閉塞機転ははっきりせず,麻痺性イレウスと判断しイレウス管による保存的治療を行った.翌日より排便認め,症状改善したが,イレウス管進行せず,造影検査にて腸管の狭小化を認めた.再度CT撮影行ったところ,イレウス管先進部近傍に腸間膜のねじれと内部不均一な脂肪構造を認め,同部が閉塞機転であると判断し,手術を行った.腹腔鏡下に腹腔内検索すると,後腹膜腫瘍と腸間膜の間に形成されたバンドにより,上部小腸が内ヘルニアをおこしていたが,明らかな腸管虚血は認めなかった.バンドを切離し,内ヘルニア整復すると,腫瘍はトライツ靭帯近傍後腹膜に局在し,大きさ5cm大であった.腫瘍直上の腹壁に7cmの小開腹創をおき,小開腹下に後腹膜腫瘍を摘出し,手術を終了した.組織学的検査では,腫瘍は出血を伴った脂肪腫であった.術後経過良好で術後3日目より経口摂取開始し,紹介介護施設へ転院となった.【結語】開腹歴のない腸閉塞症例で後腹膜腫瘤を認めた場合,後腹膜腫瘍によるバンド形成のための内ヘルニアも念頭におき,治療にあたる必要がある.
索引用語 後腹膜脂肪腫, 腸閉塞