セッション情報 ワークショップ10(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

患者にやさしい大腸内視鏡検査の工夫

タイトル 内W10-14:

患者にやさしい大腸内視鏡-傾向と対策.大腸3D-CTによる挿入困難例の検討-

演者 赤羽 麻奈(亀田メディカルセンター幕張・消化器科)
共同演者 永田 浩一(亀田メディカルセンター幕張・消化器科), 光島 徹(亀田メディカルセンター幕張・消化器科)
抄録 1. 大腸内視鏡(CS)による苦痛の原因と対策:CSが受診者に与える苦痛は、肛門から内視鏡を挿入するCSの特殊性に伴う不安、恐怖、羞恥心などの精神的苦痛と、内視鏡挿入に伴う腸管伸展痛による身体的苦痛に大別される。前者への対策は、十分な説明と同意、検査中の丁寧な語りかけなどの精神的援助である。後者への対策は、適切なスコープの選択、挿入手技の熟達、麻酔の適切な投与などである。我々は人間ドックにおいてscreening colonoscopy(SCS)を実施しているが、対象が一般健常人であるため、安全・安楽な「受診者にやさしいCS」の実現が求められる。
2. 我々のSCS:原則無麻酔。強い苦痛が予想される場合には塩酸ペチジン主体のsedationを実施。2011年1月から12月までのSCSは、2,761例。盲腸到達率は99.6%。平均到達時間は7分53秒、10分超は555例(20.1%)。受診者の苦痛度は(-):2711例83.7%、(+):13.9%、(++):1.9%、(+++):0.5%。
3. CS困難例の大腸3D-CT:CS困難例の定義は盲腸到達時間10分超もしくは苦痛度(++)および(+++)。対象は2010年5月から2012年1月までに我々の大腸3D-CT検診を受診した1,269名のうち、以前SCSの経験がある731例。これらのうちCS困難例は112例(15.2%)。大腸3D-CTから推測されたCS困難因子は、過長(腸管長/身長=1以上):51例(45.5%)、憩室症:35例(31.3%)、腹部手術歴:23例(20.5%)。
4. 結果:1.精神的援助、細径スコープの採用、熟達した愛護的な手技およびsedationの活用で、97.6%のSCS受診者に対して(-):全く痛みがないか (+):あっても軽度の、「やさしいCS」が実施できた。2.CS受診者の2割前後は、過長、憩室、癒着によるCS困難例の可能性がある。困難例に対しては体位変換、用手圧迫などを駆使して盲腸到達を目指すが、それでも挿入に苦慮する場合は、無理をせず大腸3D-CTなどの画像診断法を活用することも、「患者にやさしい大腸検査」の実現に必須である。
索引用語 大腸内視鏡, 挿入困難