セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-症例 3

タイトル 外P-730:

術前に穿孔部を同定し得たシートベルト外傷による腸管穿孔の2例

演者 唐澤 幸彦(昭和伊南総合病院・外科)
共同演者 北原 弘恵(昭和伊南総合病院・外科), 宮川 雄輔(昭和伊南総合病院・外科), 森川 明男(昭和伊南総合病院・外科), 織井 崇(昭和伊南総合病院・外科)
抄録 シートベルト装着の義務化により重症の頭部・胸部外傷は減少したものの比較的まれではあるがシートベルトによる腸管損傷の報告は増加してきている.穿孔部位の術前診断が困難な例も多く,腸管外ガス像の確認のみでの手術や他の臓器損傷の手術時に発見されることもあり,穿孔部を術前に特定しえずに手術となることも多い.今回,CT(64列マルチスライス)で術前に穿孔部を特定し手術したシートベルトによる腸管穿孔の2例を経験したので報告する.【症例1】85歳,女性.乗用車後部座席に同乗中,対向車と正面衝突しシートベルトをつけたまま床にずれ落ち受傷.右側胸部~腹部にかけての疼痛を認めたが筋性防御は認めなかった.CT(冠状断・水平断)で十二指腸下行脚の不整形の穿孔と周囲の泡状のガス像を確認.他にII+Ib型肝損傷,右第5~10肋骨骨折,右肺挫傷・血気胸を認めた.開腹所見では十二指腸乳頭部口側の十二指腸下行脚に1.5cm径の穿孔を認め同部を縫合閉鎖し大網を縫着.胆嚢摘出,総胆管ドレナージを行い減圧用胃瘻,腸瘻を留置した.手術時間は3時間48分であった.高齢のため離床に時間を要したが術後経過は比較的良好でリハビリを行い術後57日目に退院となった.【症例2】73歳,女性.軽四輪車運転中に対向車と衝突し受傷(エアバック作動).左下腹部中心に筋性防御を認めた.CT(冠状断・水平断)で小腸壁に径5mm大の明瞭な穿孔と右腎嚢胞の破裂が確認され手術を施行.Treitz靭帯から約160cmに径5mmの穿孔を認め層々に縫合,また295cmに非全層性腸間膜裂傷を認め縫合処置を行った.腎嚢胞破裂は放置した.手術時間は1時間7分であった.術後19日目に退院となった.
索引用語 シートベルト外傷, 腸管穿孔